The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「大量の薬物で洗脳され…完全に自我が崩壊しています。更に、声帯を潰されていて…聞き出そうにも、声が出せません」

「…随分と徹底していることね」

「はい。犯人は先週から行方不明になっていたそうで…。恐らく、何者かに拉致され…短期間に大量の薬物を投与され、ルルシーの暗殺者に仕立てあげられたのだと思われます」

あの、虚ろな目。あれは最早、人間ではない。

一応今はまだ生きているが…あれだけ強い薬物を、短期間に大量に投与されたら…長くはないだろう。

完全に、ルルシーを刺し殺す為の捨て駒として利用されたのだ。

「その子を洗脳したのは誰なの?」

「まだ不明です。ただ…鑑識班によると、犯人の血液から採取された薬物は、うちで使っているものではなかったそうです」

「うちで使っているものじゃない?」

人を洗脳する為の薬物なら、『青薔薇連合会』でも使っている。

そしてうちは、ルティス帝国最大のマフィア。

その手の薬物には精通しているし、国内で使われる薬物のほぼ全てが…『青薔薇連合会』を介して売買されているものだ。

だから、『青薔薇連合会』では取り扱っていない薬物ということは。

「確かなことは言えないそうですが…鑑識班によると、犯人に使われた薬物は、箱庭帝国でよく使われる種類の薬物だそうです」

「…」

アシュトーリアさんは、鋭い眼光で唇を噛んだ。

アリューシャもシュノも、私の言わんとすることを理解してはっとしていた。

「…マジかよ。じゃあ、例の革命軍の仕業だってのか?」

「…確証はない。ただ…箱庭帝国に関連のある組織の反抗だろうね」

「箱庭帝国が…何でルルシーを殺そうとするの!?」

シュノが、怒りを滲ませてそう言った。

…犯人が何者なのか、私も確証を持って断言することは出来ない。

「…私達が協力を拒んだことを逆恨みして…『青薔薇解放戦線』がルルシーを襲った…ってことなの?」

シュノはそう推測した。

確かに、それは可能性として充分有り得ることだ。

でも。

「そんなことをする意味があるかな。彼らは、私達に武器を売ってもらわなきゃならないはずだ。機嫌を損ねて良い相手じゃない」

「でも…じゃあ、何でルルシーを襲うの?」

「…それは…」

考える理由は…他にも色々とあるけれど。

「あのさぁ。アリューシャは正直…誰がルル公を襲ったかなんて、この際…後回しで良いと思うんだよね」

アリューシャは珍しく軽口を慎み、暗い顔でそう言った。

…確かに、アリューシャの言う通りだ。

それよりも…もっと大事なことがある。
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