The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
だからと言って。

それは、奴らの志が低いからとか、奴らが怠け者だからとか、そう言って責めることは出来ない。

「憐れなものだね、『青薔薇解放戦線』は…」

「そうですね」

憐れと言えば、確かに憐れだ。

別に奴らが悪い訳ではない。

ある意味では仕方のないことなのだ。『青薔薇解放戦線』の兵士達は、今までずっと、箱庭帝国で暮らしてきた。

明日生きられるかどうかも分からない生活を、ずっと続けてきたのだ。

祖国にいた頃は、苦しくて逃げ出したいから、なんとか祖国に平和を取り戻そうと革命を考えた。

戦ってみせると。この命を持って祖国を救うと誓っていたのだろう。

でもそれは、彼らが生きるか死ぬかの窮地に立たされていたから。

そんな危険の中にいたから、彼らは本能的に戦うことを志したのだ。

しかし、今は?

今いるのは、箱庭帝国ではない。

安全で、明日の暮らしが保証された、豊かで平和なルティス帝国。

居候の身分だと分かっていても、今まで大変な苦労をしていたぶん、どうしても安楽な生活に甘えてしまう。

あと少し、まだあと少し、と。

それどころか…戦争をする気も失せているのだろう。

誰だって、生活に困らない平和な毎日を送っていれば、戦争しよう!なんて思い付かないからな。

戦争というのは、そうしなければ自分の命が危ないときの最終手段としてやることだ。

彼らは今、よその国の仮初めの平和だとしても、それでも平和を手にしている。

だから、戦争をする意欲がなくなっているのだ。

自ら戦争という危険に、飛び込みたい者がいるか?

更に悪いことに、彼らは馬鹿だ。

こう言っては悪いが、まともな教育を受けてこなかった箱庭帝国の国民は、大概が馬鹿なのだ。

自分の頭で考えるということが出来ない。本能のままに、楽な方に流されてしまう。

今が良ければそれで良い。先のことは、先になってみないと分からない。

そう考えてしまう連中なのだ。
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