The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…と、悪口を散々言ったが。

勿論、それは彼らが悪いのではなく、そういう洗脳をされてきたからに他ならないのだが。

戦意を失い、考えることをやめた兵士など、最早兵士ではない。

ただの人間だ。

戦争は原則的に、兵士がやることだ。ただの人間がやることじゃない。

ただの人間が戦場に立ったって、何も出来ない。

ただ突っ立って撃たれるだけのことだ。

『青薔薇解放戦線』の兵士達は今や、ただの人間に成り下がってきている。

あの訓練の様子を見れば一目瞭然だ。

「はー…。大変だねぇ…」

「本当」

俺達は他人事だから良かった。…と、言えたら良いのだが。

俺達も、他人事じゃないんだよなぁ。

何せ俺達は、そのただの人間ごときと共闘しなければならないのだ。

彼らの境遇については、同情してやらなくもないけどな。

でも、一緒に戦うとなると…話は別だ。

足を引っ張る仲間なんて、要らない。

「ルレイア、どうするの?このまま革命軍が平和ボケしていったら…。彼らと手を切るの?」

俺と同じことを危惧したのか、シュノさんが俺にそう聞いた。

「そうなるでしょうね。無能と手を組むことは出来ません」

奴らが突っ立って撃たれるのは勝手だが、俺達まで巻き込まれちゃたまらない。

かといって、ルルシーを傷つけやがった憲兵局を、許すつもりはない。

だから。

「俺達だけで、憲兵局をぶっ叩きます。『青薔薇解放戦線』なんて知りません」

「でも…ルレイア、それだと…私達、『青薔薇解放戦線』に利用されることにならない?」

うん。そうだね。

奴らも多分、腹の底でそれを狙っているんだと思う。

『青薔薇解放戦線』の体たらくに呆れて、『青薔薇連合会』が憲兵局を倒してくれたら。

『解放戦線』の奴らは、自分達が戦うまでもなく、革命を完遂出来る。

俺達を利用する訳だ。

でもな。

「そんなことはさせませんよ」

俺達を利用しようなんて、そんな都合の良い話を、俺が許すはずがないだろう?

「そのときは、交渉決裂で『青薔薇解放戦線』を箱庭帝国に送り返します。大量の武器を持たせてね」

「!」

「後ろ楯がなくなったとなれば、奴らも死物狂いで働くでしょう。それで憲兵局の数を出来るだけ減らして…国内が混乱したところを、『連合会』でとどめを刺す。完璧でしょう?」

『青薔薇解放戦線』が俺達を利用したいって言うんなら、こちらも同じことをさせてもらうまでのこと。

自分達の手を汚さず、甘い蜜を吸えると思ったら大きな間違いだ。

大体、そんなことは帝国騎士団が許さないだろう。

帝国騎士団だってそれなりに金を出しているのだから、契約はちゃんと守ってもらわないと困るはず。

『青薔薇解放戦線』がルティス帝国で平和に安穏と生きていられるのは、「革命を起こす」という約束をしたからだ。

約束を果たさないなら、彼らは単なる不法入国者でしかない。

追い出されるに決まってるだろう。

「成程なぁ…。ルレ公怖っ」

「うふふ。ルルシーの復讐を果たせるなら、俺は何でもやりますよ」

ルアリスが気づいて、何か対策をして戦意を取り戻させるなら良し。

でももし、奴らがこのまま平和ボケを続けるようなら…。

俺は、容赦はしないぞ。
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