The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
翌日。

俺は、ルレイア殿に連絡を取って、彼のもとを訪ねた。

ルレイア殿は、相変わらずルルシー殿同伴で俺の前に現れた。




「いきなり何ですか?」

「済みません、ルレイア殿…。わざわざ時間を頂いて」

俺が頭を下げると、ルレイア殿は気にしてない風に手をひらひらと振った。

「別に良いですよ。でも早めに済ませてくださいね。俺、この後ルルシーとデートする約束なので」

「そんな約束はしてない」

「え?照れてるんですかルルシー?照れなくても良いのに~。このこの~」

「やめろ」

ご機嫌でツンツンするルレイア殿に、鬱陶しそうなルルシー殿。

とても微笑ましい光景なのだろうが…残念ながら、俺には今、そんなことをする余裕はない。

「ルレイア殿…実は、折り入って相談したいことがあります」

「ふぅん…?何ですか?」

「ルレイア殿も気づいておられるでしょうが…。現状の『青薔薇解放戦線』が、革命なんて出来る状態にないことを…」

「あぁ、何だ。あなた一応、ちゃんと気づいてたんですね」

「…」

…やっぱり、そうか。

ルレイア殿も、分かっていて何も言わなかった。

当然だ。俺が気づくことを、ルレイア殿が気づかないはずがない。

「ま、仕方ないことなんじゃないですか?お宅らは生まれた国が国ですからねぇ。ルティス帝国が極楽浄土に思えるのも無理ないですよ」

「…でも、いつまでもこのままではいけない。そうですよね」

「そりゃそうですよ。俺達はあなた方を『ご招待』したんじゃない。もとはと言えばそちらが『押し掛けて』きたんですよ。それを追い返さずに面倒見てやってるのは何でだと思います?」

…『解放戦線』が、革命を起こすと約束したからだ。

タダで置いてやるなんて、一度も言われたことはない。

言われるまでもなく分かることだ。

「このままあなたが何も気づかず、いつまでもこの国で怠惰を貪るようなら…こちらも考えがありますよ」

「…」

「帝国騎士団は優しいから、ただ国に送り返すだけでしょうけど…。俺はそうはいきませんよ。使えない穀潰しですが、精々役に立ってもらいます」

…彼が何をするつもりなのかは分からないが。

きっと、恐ろしいことを考えているのだろう。

本人が言う通り、『青薔薇連合会』は帝国騎士団ほど甘くはない。

いずれにせよ…祖国に送り返されたら、どうせ俺達は殺されるのだ。

「で?あなたはどうするつもりです?諦めて俺に殺されるか、それとも憲兵局に殺されるか…どちらが良いんですか?」

「…どちらもお断りします」

「へぇ?」

だから、俺はここに来たのだ。

「ルレイア殿…。俺には、リーダーとしてあなたのような強さもなければ、皆を引っ張るカリスマ性もありません。だから…あなたに教えを乞いに来ました」

俺には、どうすれば仲間達を再び奮い立たせられのか分からない。

でもこの人なら…ルレイア殿なら。

俺に足りないものを、知っていると思ったのだ。

だからここに来た。ルレイア殿に相談する為に。

「俺はどうしたら良いんでしょうか。どうしたら…仲間達の心を取り戻せるんでしょう」

「ふーん…」

「お願いします、ルレイア殿…」

そう言って、俺は素直に頭を下げた。

…俺が言えることはこれが全てだ。

あとは、ルレイア殿の返事を待つだけである。

「…あなた…って」

ルレイア殿の返事は、酷く辛辣なものだった。

「プライドないんですか?」

彼の一言が、早速ぐさりと突き刺さった。
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