The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…あ?」

「大将軍に…全ての責任を負ってもらうつもりです。他の局員に関しては…出来るだけ生け捕りに」

「…ふーん…」

ルレイア殿にとっては、それすらも甘いと思うのだろうけど。

怒りや憎しみに囚われて人を殺してはいけない。

それでは、俺が望む平和は訪れないと思うから。

「でも、それだと…あなたの愛人のセトナさんって人の父親をぶっ殺すってことですよね。彼女は了承してるんですか?」

俺もセトナ様も、噴き出してしまうところだった。

誰が誰の愛人だって?

セトナ様は顔を真っ赤にして俯いていた。

ルレイア殿、男女の関係がすべからく不健全なものだと思っているだろう。

「セトナ様は愛人などではありません…。それと、彼女にも了承は得ています」

「ふーん。自分の親父ぶっ殺すんですか~。やりますね、なかなか」

「…革命軍に参加すると決めたときから、覚悟は出来ていますから」

ルレイア殿に煽られても、セトナ様は動じなかった。

強がってはいるが、彼女も思うところはあるだろう。

実の父親を手にかけようというのだから…。

「まぁ勝手にしてください。革命が成功すれば、どうせあなたの親父さんは国内に居場所はありませんよ。だったら革命の象徴として、華々しく斬首されるべきです」

「…」

…相変わらず、容赦のない人だ。

その通りなのかもしれないが…。もう少し言い方というものがあるだろうに。

セトナ様がショックを受けていないかと危惧したが、彼女はしっかりと顔を上げていた。

覚悟は出来ている…ということだろう。

良かった。

「他の局員も皆殺しの方が良いと思いますけどね~、俺は」

「ルレイア殿…それは」

俺が反論しようとすると、ルーシッド殿が代わりにルレイア殿に意見してくれた。

「局員を皆殺しになんてすれば、やっていることは革命軍も憲兵局と変わりません。他国の革命に私怨を挟むのは…」

ルレイア殿に反対意見なんて勇気がある、と思ったが。

肝心のルレイア殿は、ジトッ、とルーシッド殿を睨んだ。

「金だけ出して兵を出さない臆病者は黙っててくれます?お宅らは黙って…財布だけ出してりゃ良いんですよ」

「…」

こう言われてしまうと、ルーシッド殿としては何も言い返せない。
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