The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
痛いところを突かれた、と思っているだろう。

でも…ルーシッド殿の意見は、俺の意見を代弁したものだ。

「俺は戦争を起こしますが、でも人を殺したい訳ではありません。憲兵局の局員とて…箱庭帝国の国民なのです。犠牲は最小限にしたい」

「そんな甘いことがよく言えましたね。戦争で舐めプはアホのやることですよ。殺したくない~なんて言ってる間に、仲間が殺されなきゃ良いですけどね?」

「…」

ルルシー殿が小声で、お前が言うか…と呟いているのが聞こえた。

まぁ…ルレイア殿は、チートみたいな人だから。

ルレイア殿が言っていることは、俺も散々考えた。

考えた上での、この決断なのだ。

殺されるよりは殺した方がまし、でも…。

「殺さなくて良いのなら、殺さない方が良いはずです。俺達は…憲兵局とは、違いますから」

殺さなくて良い人を殺すなら、それは憲兵局のやっていることと同じ。

『青薔薇解放戦線』は、憲兵局とは違う。

無益に、人を殺したりはしない。

国民達にも、それを分かって欲しかった。

「殺す以外の方法で、問題を解決出来るんだってことを…俺は証明したいんです。そんな短絡的で野蛮な方法を、俺は次代の箱庭帝国に残したくはありません」

邪魔だからって、罪を犯したからって。

じゃあその人を殺して、それでおしまい。

そんなやり方ではいけない。問題が起きても、罪を犯す人が出てきても…誰も殺さず、前を向いて、ちゃんとやり直せる力を、人間は持っているんだってことを…皆に知って欲しい。

それが、真の平和に繋がると信じている。

俺は単に、憲兵局を倒したいのではない。

その先の、箱庭帝国の平和な未来を手に入れたいのだ。

その為には、汚い部分を切り捨てるのではなく、綺麗なものも汚いものも全部引っくるめて一つの国として、皆で前を向いて生きていかなきゃならない。

「だから…あくまで、人殺しは避けるつもりです。殺さなきゃ殺されるというのなら仕方ないですが…。殺さずに済むなら、出来るだけ生け捕りにします」

「…あまっ」

強い意思を持って宣言すると、ルレイア殿はそう吐き捨てた。

「まるで飴ちゃんのように甘いですね。ねぇルルシー。俺、ぺろぺろキャンディ持ってるんですけど舐めます?交互に一舐めずつ」

「一人で食え。それから…会議中に飴を持ち込むな」

「だぁって。どうせこんな展開になるだろうと思って」

…こんな展開を見越して、飴を持ってきたと?

またあんな、エロいキャンディの舐め方を披露するつもりか。やめてくれ。
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