The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
人質がいるのに、まさか攻撃してくるとは思わなかったのだろう。

奴らは激しく動揺し、狼狽えていた。

人質の女性の甲高い悲鳴が響いた。

さて、次。

再び拳銃を向けようとしたところを、ルアリスに腕を掴まれた。

「何をやってるんですか!」

「はぁ?」

何をやってる、だと?

何をやってるのかなんて、お前に聞かれるまでもない。

「戦争ですよ。他に何をやってるんですか」

「人質がいるのに発砲するなんて!人質の身に何かあったら…」

「この期に及んで、悠長なこと言ってんじゃねぇ!」

手にしていた拳銃の銃床で、思いっきりルアリスをぶん殴った。

あ、やばい…。殺したかも。

「ぐっ…く…」

地面に倒れたルアリスが、よろよろと起き上がった。

あ、生きてた。

「舐めたこと言うなよ、ガキ…。何をやってるのか、分かってないのはお前だ。人質が何だって?知ったことか。未来の何千何億という国民を救う為に、今の何百人かを犠牲にすることを躊躇うな。その覚悟もなく…人の命を背負うな」

「…!」

もう飽きるほど、何度も言ってきたことだ。

こいつの考えは甘過ぎる。誰も犠牲にせず、誰かを救えると思うな。

世の中、そんなに甘くはない。

「お前が人質を殺したくないってんなら好きにすれば良い。そこで永遠に、人質を解放しろと叫び続けてれば良い。でも、俺は躊躇いませんよ。邪魔する者は誰でも、容赦なく切り捨てる」

俺は薙刀を構えて、ルルシーに振り向いた。

「さて、ルルシー…付き合ってください」

「あぁ」

人質の解放を優先しよう、なんて甘いことを、ルルシーは言わない。

更に。

「はぁ、ようやっと追い付いたよ」

「ルレ公はあれだな。イノシシだな!うり坊ならぬ、ルレ坊って呼んで良い?」

アイズレンシアと、アリューシャが合流した。

「あら、皆さん遅かったですね」

「おめーが早過ぎんだよ」

だって、ほら。独断専行して良いって話だったから。

遠慮なく、ルレ坊させてもらいました。

すると、そこに。

「ルレイア、大丈夫?」

シュノさんが、心配そうな顔をしてやって来た。

「俺が大丈夫じゃないとでも?シュノさん」

「武器のことよ。剣、もう使い物にならなくなってるんじゃないかと思って、替えを持ってきたの」

さすがシュノさん。分かってる。

「助かります。丁度切れ味が悪くて困ってたんですよ」

敵の武器を再利用もしたけど、箱庭帝国の武器って、どれもなまくら同然だから。

やっぱり武器は、国内産とアシスファルト産に限るな。

俺は薙刀を捨て、シュノさんが持ってきてくれた剣を二本、構えた。

薙刀でも良いけど、この数相手じゃな。

慣れた武器の方が使いやすいというものだ。
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