The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「そこまでだ!革命軍!」

糞音質のスピーカーで、不愉快にがなりたてる声が聞こえた。

帝都に向かう大通りを塞ぐように、憲兵局直属部隊がずらりと並んでいた。

…ようやく主力が出てきたじゃないか。

腕が鳴る。

しかし、青い軍服姿の男達は、怯えて震える女性と子供を盾にして立った。

「…あ?」

何だ、あれは。

「革命軍に告ぐ!これ以上、国土を脅かすのなら…この人質を殺す!一般市民を巻き込みたくないなら、今すぐ出ていけ!」

「…!!」

ルアリスは、愕然として立ち尽くした。

…はぁん…成程ね。

もう何度も思ったことではあるけど…憲兵局というのは、とんでもないクズの集団だな。

キングオブクズって奴だ。帝国騎士団にも勝てるんじゃない?

「馬鹿なことを…!この期に及んで、市民を人質に取るなど!」

正義感を拗らせたルアリスは、ぶちギレてそう反論していたが。

クズに「このクズ!」って言っても、向こうは自覚がないと思うぞ?

言うだけ無駄ってものだ。

「成程。人質を取って、帝都に立てこもってるんですね。兵の数が少ないのはそのせいか…」

人質がいれば、革命軍は手を出せない。

それにしても、一般市民を人質に取ってまで籠城するとは。

それだけ追い詰められてるってことなんだろうが…。往生際が悪いにもほどがある。

いっそ全て投げ出して投降してしまえば良いものを。

あくまで徹底抗戦ってことか。

まぁ…俺にとっては都合が良いが。

「女性と子供を人質に取るなんて…なんて非道な真似を…」

「…」

ルアリスは、敵の思惑通りにぶちギレているようだが。

俺は、こうなることも予測していた。憲兵局の糞なことと言ったら、帝国騎士団もびっくりなレベルだからな。

このくらいのことはしてくるんじゃないかと思っていた。…本当にやるとは思わなかったけどな。

考えることと、それを実行に移すことは大きな違いがある。

やってしまったら、終わりだぞ。こんなこと。

こいつらは最早、国家ではない。

ただのチンピラだ。

マフィアですらない。

「…人質を取られては、手が出せません。ルレイア殿、少し下がって、まずは人質の解放を…」

「…まぁ、俺には関係ないですけどね」

「…は?」

俺は躊躇いなく拳銃を抜き、最前線に立っていた兵士を一人、撃ち倒した。
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