The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…二週間後。






その日、俺がルルシーさんの執務室を訪ねると。

「ねぇルルシー。プレゼントは俺が良いですよね~」

「要らねぇっての…。何か物にしてくれよ」

「何なら全身にチョコクリームを塗って…そのまま食べちゃってくれても良いですよ…?」

「…きっしょ…」

なんて、ルレイアさんとルルシーさんは、とても微笑ましい会話をしていた。

あぁ、二人共、今日も仲良しだなぁ。

生クリームじゃなくて、敢えて黒いチョコクリームをチョイスするルレイアさん、さすがである。

「…どうした、ルヴィア」

ルレイアさんにくっつかれた状態で、ようやく俺の来訪に気づいたらしいルルシーさん。

「あ、いえ…。頼まれてた報告書、持ってきました…」

「そうか…。いつも済まんな」

「ん~ルルシー。ルルシ~」

べたべたと甘えてくっつくルレイアさんを、ルルシーさんは完全にスルーであった。

あんな風にフューニャが甘えてきたら…可愛いだろうな~。

そう思うとちょっと和んだ。

すると。

「…ん?あなたルヴィアさんじゃないですか。久し振りですね」

「あっ、ルレイアさん…。お久し振りです」

ルレイアさん、俺の存在に気づいたのは今ですか。

遅かったですね。

名前覚えててくれて良かった。

「まぁ無事で何よりですよ。…ん?ルヴィアさん、あなた…その薬指につけてる指輪…」

「あ、はい」

さすがルレイアさん、俺が指輪を嵌めていることに目敏く気づいたようだ。

しかし。

ルレイアさんは何故か、にやり、と人の悪い笑みを浮かべた。

…その笑顔は何?

「ルヴィアさん…。あなた、なかなかやりますね」

「え?な…何がですか?」

「まさかアシスファルト出張中に、現地妻を作るとは…。どうでしたか?初めての愛人の味は」

「…?」

何のことか、俺は頭を捻った。

現地妻…?愛人?何のこと?

ルルシーさんが、ずるっ、とずっこけていた。

「誰もが皆お前みたいだと思うなよ。ルヴィアをお前と一緒にしてくれるな」

「え?あれ、愛人とのペアリングじゃないんですか?」

「そんなことルヴィアがする訳ないだろ。お前じゃないんだから。どうせ嫁との結婚指輪だよ」

「え~?そうなんですか?ルヴィアさん」

え?この指輪?

「この指輪は…先日届いたばかりなんです。帰国してから、嫁と色んな店を巡って吟味して…。これが届いてから、うちの嫁、凄く可愛いんです。ずっと指輪を弄って、にこにこしてて…。指輪買って本当に良かったです」

ここ最近のフューニャの可愛さと言ったら、写真を撮ってデスクの上に飾っておきたいくらいだ。

結婚指輪がよっぽど嬉しかったのか、届いて以来そそくさと嵌めて、片時も外さない。

あんなに喜んでくれると、買った甲斐もあるというものだ。

「それでなくても革命の後から、毎日凄く嬉しそうで…。憑き物が取れたと言いますか、いつにも増して表情豊かで可愛いんです。昨日も帰るなり俺にくっついてきて、なかなか離れなくて…。そろそろ離れてくれって頼んだら、むーってして…その顔がまた可愛くて…」

「あぁ…うん。あぁ…分かった…」

フューニャの可愛さを思い出して、うっとりとしてしまったのだが。

何故かルルシーさんは青い顔をして、そしてルレイアさんはそっぽを向いていた。
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