The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「違うんだフューニャ、プレゼントをあげる同僚っていうのは、女性じゃなくて」
「あら、男性ですか…」
そう、そうなんだよ。
「だから何も心配は…」
要らないんだ、と俺は言おうとしたが。
「じゃあ、中に詰める綿に刺す釘は…人形の股間部分に刺しておくことにしましょう」
ちょっと待って。釘を刺す位置が変わっただけで、呪いの人形に変わりはない。
「だ、男女で釘を刺す場所が違うのか…?」
「女性の場合はお腹の中、子宮に当たる場所に。男性の場合は股間です」
聞かなきゃ良かった。
めちゃくちゃ本格的じゃないか。背中がぞわっとした。
そんな人形渡されようものなら、どうなることか。
これは本格的にフューニャの誤解を解くことに専念しなくては。
見てみろ。フューニャ、俺の指の爪を眺めながら、「ペンチで剥がれますかね…」なんてぼそぼそ呟いてる。
俺の生爪を剥いで、呪いの人形を作るつもりだ。
フューニャ自身の爪じゃないから、まだましだけどさ。
「フューニャ…。あのな…上司に。上司に誕生日プレゼント渡すだけだから」
「上司…?…さては、あの方ですね」
「そうそう、あの方だよ」
フューニャも面識があるだろう。ルルシーさんとは。
良かった。これで分かってくれただろう…。
ほっと胸を撫で下ろしかけた俺だが。
しかし。
「とうとうあの方の性フェロモンにやられてしまいましたか…。あの方は強そうですからね。少々の呪いでは、呪いをかける私の方が返り討ちに遭いかねません。…仕方ありませんね、久々に…私も本気を出すことにしましょう」
「は?」
「少し待っていてくださいルヴィアさん。私はちょっと密室にこもって、呪力を高めてきます。あの方が相手とは…これは厳しい戦いになりそうです。でも、私にもプライドがありますからね。やれるだけのことはやります」
「ちょ、ちょっと待ってくれフューニャっ…。何言ってるんだ!?」
「止めないでください、ルヴィアさん…。私もあの方を呪うのは怖いですが、これもルヴィアさんの心を奪い返す為です」
奪うも何も、先に俺の心を奪ったのはフューニャなのだが?
って言うか、悪魔さえ呼び出せる(自称)フューニャでさえ恐れるなんて、ルレイアさんはどんだけ怖い人なんだ。
確かに怖い人ではあるけども。
俺は参加してないが、例の革命のとき、悪魔のような形相で無双するルレイアさんの姿は、正に死神のようだった、と部下が震えながら話しているのを聞いた。
俺、見なくて良かった。あれを見た部下の何人かが、あれ以来毎晩のようにルレイアさんの悪夢を見て、眠れなくなってしまったそうだ。
どちらかと言うと、そんな死神を手懐けられるルルシーさんの方が怖いよ。
いや…今は、そんなことより。
フューニャの誤解を解かなくては、フューニャとルレイアさんの呪い合戦が始まってしまう。
何としても、それだけは阻止しなければ。
「あら、男性ですか…」
そう、そうなんだよ。
「だから何も心配は…」
要らないんだ、と俺は言おうとしたが。
「じゃあ、中に詰める綿に刺す釘は…人形の股間部分に刺しておくことにしましょう」
ちょっと待って。釘を刺す位置が変わっただけで、呪いの人形に変わりはない。
「だ、男女で釘を刺す場所が違うのか…?」
「女性の場合はお腹の中、子宮に当たる場所に。男性の場合は股間です」
聞かなきゃ良かった。
めちゃくちゃ本格的じゃないか。背中がぞわっとした。
そんな人形渡されようものなら、どうなることか。
これは本格的にフューニャの誤解を解くことに専念しなくては。
見てみろ。フューニャ、俺の指の爪を眺めながら、「ペンチで剥がれますかね…」なんてぼそぼそ呟いてる。
俺の生爪を剥いで、呪いの人形を作るつもりだ。
フューニャ自身の爪じゃないから、まだましだけどさ。
「フューニャ…。あのな…上司に。上司に誕生日プレゼント渡すだけだから」
「上司…?…さては、あの方ですね」
「そうそう、あの方だよ」
フューニャも面識があるだろう。ルルシーさんとは。
良かった。これで分かってくれただろう…。
ほっと胸を撫で下ろしかけた俺だが。
しかし。
「とうとうあの方の性フェロモンにやられてしまいましたか…。あの方は強そうですからね。少々の呪いでは、呪いをかける私の方が返り討ちに遭いかねません。…仕方ありませんね、久々に…私も本気を出すことにしましょう」
「は?」
「少し待っていてくださいルヴィアさん。私はちょっと密室にこもって、呪力を高めてきます。あの方が相手とは…これは厳しい戦いになりそうです。でも、私にもプライドがありますからね。やれるだけのことはやります」
「ちょ、ちょっと待ってくれフューニャっ…。何言ってるんだ!?」
「止めないでください、ルヴィアさん…。私もあの方を呪うのは怖いですが、これもルヴィアさんの心を奪い返す為です」
奪うも何も、先に俺の心を奪ったのはフューニャなのだが?
って言うか、悪魔さえ呼び出せる(自称)フューニャでさえ恐れるなんて、ルレイアさんはどんだけ怖い人なんだ。
確かに怖い人ではあるけども。
俺は参加してないが、例の革命のとき、悪魔のような形相で無双するルレイアさんの姿は、正に死神のようだった、と部下が震えながら話しているのを聞いた。
俺、見なくて良かった。あれを見た部下の何人かが、あれ以来毎晩のようにルレイアさんの悪夢を見て、眠れなくなってしまったそうだ。
どちらかと言うと、そんな死神を手懐けられるルルシーさんの方が怖いよ。
いや…今は、そんなことより。
フューニャの誤解を解かなくては、フューニャとルレイアさんの呪い合戦が始まってしまう。
何としても、それだけは阻止しなければ。