The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
そんな訳で、俺はルレイアと二人で映画館にやって来たのだが。

人生で初めて、ホラー映画を映画館で観た。

個人的には、結構怖かった。

しかし、左隣のルレイアが、ずっと平然とした様子でぽりぽりポップコーンを摘まんでいるのに対し。

右隣の高校生らしき男の子が、いちいちびくっ、びくっ、と過剰に反応したり、ふひっ、とかうぁっ、とか言っていたのが気になって。

いまいち映画の内容に入り込めなかった感がある。

怖かったんだろうな。きっと。

上映終了後。

「いやぁルルシー。ポップコーン美味しかったですね~」

ルレイアの第一声が、それだった。

「…映画の感想を言えよ」

何でポップコーンの感想なんだよ。

しかも、お前が大半食べちゃったから、俺全然ポップコーン食べれてない。

すると、俺の右隣から、不穏な会話が聞こえた。

「くそっ…。アホユリシーめ。また余計なもん見せやがって。何でテレビから出てくるんだよ…。俺、もうしばらくテレビ観れねぇ…」

「うふふ。怖がってる久墨…何度見ても可愛いなぁ」

「…」

世の中…あれだな。ドSなパートナーに苦しんでる人って多いんだな。

右隣の彼は、めちゃくちゃびびっていたようだが。

うちのルレイアは。

「映画ですか?うーん…。よく分かんないですけど、テレビから女が出てきてくれると便利ですね。いつでもヤれるじゃないですか」

「…」

「まぁ髪が長過ぎるのが難点ですけどね~」

…心配しなくても、あの幽霊も、お前んとこには来ないよ。

お前を見たら、幽霊でさえびびって逃げていくよ。

幽霊だって、呪う相手は選ぶだろうからな。

「ルルシーが抱きついてくれないのが残念だな~」

あの程度でびびって抱きつくかよ。

死神モードのルレイアの方が、よっぽど怖いよ。

映画はあくまでスクリーンの中だけだが、ルレイアは今ここに、目の前にいるからな。

「さぁて、ポップコーンも堪能しましたし、そろそろ行きますか」

「だな」

この後は、一体何処に行こうか。
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