The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
撮影の後は、落書きタイムである。

「…ひでぇ…」

さっき撮った写真を見て、俺は思わずそう呟いた。

本当に酷いぞ。

何がって、俺が。

どれも横を向いてるか目を閉じてるか、視線がちょっとずれてるか。

まともにポーズも撮れてないし、恥ずかしがって狼狽えてるのが丸分かりで、余計に小っ恥ずかしい。

対するルレイアが、恥ずかしげもなくカメラ目線でばっちりとポーズを決めているものだから、余計に。

ルレイア…お前本当、写真映り良いな。

自分をどう魅せたら良いのかを熟知している。

ポーズもモデル顔負けだ。ただでさえ目が大きいのに、プリクラだと更に目がぱっちりしているし、肌も白くて化粧が映える。

俺と比べると…雲泥の差だな。

さすがルレイアだ。

こうなりたいとは思わないがな。

で…落書きだけど。

「ルルシー、どんな飾り付けします?」

「何でも良いよ…」

スタンプとか…ペンとかあるの?これ。これで飾り付けすれば良いの?

俺、センスないからこういうのよく分からないよ。

「じゃあ半分ずつ落書きしましょう。俺、こっちの三枚をハート尽くしにするので、ルルシーは残りの三枚を宜しくお願いします」

「あ、うん…」

…ハート尽くし?

フレームが全部ハートなのに?更にハートで埋め尽くすの?

別に良いよ。俺、変な顔して映ってるから、俺の顔をハートで埋め尽くしておいてくれ。

とりあえず、俺は自分のノルマを果たそう。

どんなスタンプ貼れば良いのかな…。ペンで文字とか書くべき?

あ、日付スタンプとかある…。日付貼っておこう。

それから…あとは目についたスタンプを適当に…。

ぺたぺた、とスタンプを貼る。貼っては消す。を繰り返す。

どうすれば良いんだ?これ。

俺がぎこちないタッチペン操作をしている隣で、ルレイアは俊敏なタッチペン捌きで、鼻唄混じりに落書き作業を進めていた。

あいつ、何であんなに上手いんだよ。

元々、無駄に手先の器用な奴ではあるけどさ。

うーん…と悩んでいると。

画面端の、砂時計を持った女の子のアイコンが、あと30秒だよ!と知らせてくれた。

…え?これ時間制限あるの?

よく見たら、そのアイコンの上に、残り時間が表示されていた。

やばっ…今初めて気づいた。

もう少し早く教えてくれよ。
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