The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
ゲームセンターを後にした俺達は。

「さてルルシー、次は何処に行きます?」

「ん~?そうだな…。ルレイアは何処が良い?」

「もー。今日はルルシーの誕生日なんですよ?ルルシーが行きたいところに付き合いますよ」

あ…そういやそうなんだっけ。

大抵いつもは、ルレイアの行きたいところに俺が付き合う、ってスタイルだからな。

自分がリクエストするのって、慣れない。

と言っても…行きたいところ、か。

特にないんだよな…。

何処に行けばルレイアが喜ぶかな、って考えてしまう。

「…じゃあ、喫茶店でも入るか」

「良いですね~。ケーキ奢りますよ。ルルシー、誕生日ですし」

「ありがとう」

俺達は少し歩いて、近場の喫茶店に入った。

ここも、友達連れのご婦人方や高校生くらいのグループで賑わっていた。

昼間に出てくることってあんまりないから…。何だか新鮮だな。

まさか彼女達も、マフィアの幹部二人が仲良くお茶しに来たとは思うまいな。

「飲み物は何にする?」

「俺はアイスティーにします」

「そうか…。俺もそうしよう」

するとルレイアが店員さんを呼び、注文を告げた。

「アイスティー、ストレートを二つ。それとチョコレートケーキも二つで」

強制チョコケーキかよ。

別に何のケーキでも良いけどさ。

そして、アイスティーとケーキが届いてから。

「…そういや、ルレイア」

「はい~?」

呑気な顔してるところ、申し訳ないけど。

「聞いたか?箱庭帝国の…ルアリスのこと」

「ルアリス…?…あぁ、革命軍の」

お前、ルアリスのこと忘れてやるなよ。

背中を預けて戦った仲だろうが。

「達者でやってるそうじゃないですか」

「そうだな」

ルアリスは、セトナとかいう元大将軍の娘を押し立てて、暫定政府を樹立したそうだ。

そして…元大将軍、ディルク・フォルカーティンの処遇についても、聞いた。

「情にほだされて、やっぱり殺すのやめた~、とか言い出すかと思いましたけど…」

「あぁ…」

「ようやく、少しくらいは学んだようですね」

ルレイアに、散々言われたからな。

暫定政府は公開処刑制度を廃止したから、処刑の場が国民に公開された訳ではないが。

元大将軍は、暫定政府によって裁かれ、死刑になったそうだ。

まぁ…最低でもあの男は死んでもらわなければ、国民も納得しないだろうからな。

「今のところ大きな混乱もなく、開国も順調に進んでるそうじゃないですか」

「あぁ。帝国騎士団…あのルーシッドが、全面的に支援してるって話だしな」

「俺の優しい教育の賜物ですね~。何だか後輩が独り立ちしたような気分です」

「…」

…後輩の名前、忘れてたじゃん、お前。

優しい教育って…。罵倒して殴ってたところしか思い出せないのだが?

まぁ、あれがルレイア流の愛の鞭ということなのだろう。

本当に怒るとルレイアは、罵ったり殴ったりする前に撃ち殺すからな。

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