The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
料理を作り終え。

いざ、実食。

の、前に。

それぞれグラスに、ワインを注いで(アリューシャだけグレープジュース)。

「じゃ、俺の退院と、ルリシヤの幹部就任と、それから俺とルルシーの婚約記念を祝って、乾杯!」

「おい、ルレイアちょっと待て」

最後のは何だ。

「何ですか…。乾杯に水差さないでくださいよ。かんぱーい」

おい、待て。勝手に乾杯するな。

しかし。

「かんぱーい」

聞く耳を持たない連中が、俺を無視して乾杯してしまった。

こいつら。

「さぁ食べましょう。病院食超不味くて、ルルシーのご飯がずっと恋しかったんです」

ルレイアはにこにこと、俺の手製のローストチキンを食べていた。

お前って奴は…まぁ、元気になったんだから良いけどさ。

それよりも。

俺が気になっているのは、このルリシヤのお手製野菜スープと、同じくルリシヤお手製オムレツである。

…調理過程をちらちら見て確めていたから、毒物の類は入ってないんだろうけど。

「なんかすげぇ。ニンジンが色んな形してる」

アリューシャは早速、飾り切りのニンジンに興味津々。

野菜嫌いのアリューシャに、まず興味を持たせるのが凄い。

「食べてみなよ、アリューシャ。美味しいかもよ」

「えー」

アイズに促されるも、簡単には手をつけないアリューシャ。

アリューシャの手強さは、俺もよく知るところだ。

「アイ公先に食べて」

「私が先に食べるの?別に良いけど…」

アイズは何の躊躇いもなく、ルリシヤの野菜スープに口をつけた。

「…うん、美味しい。美味しいよアリューシャ。食べてごらんよ」

「やだ~」

「大丈夫。全然食感も残ってないし、青臭さもないよ」

「…もー。仕方ないなぁ」

何故か偉そうなアリューシャは、ちびっ、と野菜スープを飲んだ。

さぁ、反応はどうだ。

「…む?」

「どう?美味しい?」

「うみゅ。普通に食える」

…なんてことだ。

あのアリューシャが、普通に野菜スープ食ってる。

しかも、ニンジンまで食ってる。

ルリシヤは安堵したような顔をしていたが、俺は愕然としていた。

「アリューシャ、食べられるの?美味しい?」

これには、アリューシャの保護者、アイズも驚いていた。

「美味しかねぇけど、食える」

「そうなんだ。良かったねアリューシャ」

「…」

あのアリューシャに、野菜を食べさせるとは。

一体何者なんだ。このルリシヤという男。

更に。

「わぁ。見てくださいルルシー。凄いですよ」

「え…?何が?」

「ルリシヤのオムレツ。お店の奴みたいです」

はしゃぐルレイアの手元を見ると、そこにはお手本のようなオムレツがあった。
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