The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
これは。

俗に言う、あれか。

ナイフを入れると、半熟状の黄身がとろっと溢れ出てくる…お洒落カフェの看板メニュー。

料理の素人ではまず作れない、熟練した技術を持つ選ばれた料理人のみが作れるという。

…ふわとろオムレツ。って奴なのか。

「お、本当だ。上手く出来てるね」

アイズがナイフを入れると、中から程よい半熟状の黄身がとろっ、と溢れた。

「すげぇ!なんかお洒落!それアリューシャもやる!」

アリューシャも興味津々。

アイズがナイフを渡してやると、アリューシャは早速執刀。

「おぉ~!これテレビで観たことある!超ムズいんだろ?」

「難しいらしいね。火加減もそうだし、柔らかいからすぐ崩れちゃうそうだよ」

そうなのだ。

俺も昔チャレンジしてみたことがあるが、ただの半熟スクランブルエッグみたいになった。

それなのに…こんなに当たり前のように成功させるとは。

しかも、他人のキッチンで、他人の調理道具を使ってだぞ。

…こいつもしかして、前職マフィアは嘘で、前職は喫茶店の店長だったのでは?

「うめぇ。アリューシャ、ふわとろオムレツ初めて食ったけどうめぇ」

「うん、美味しいね」

「…」

偏食家のアリューシャは勿論、アイズも絶賛。

更に。

「確かに美味しいですね~」

「…」

幼い頃から高級料理を食べつけてきたルレイアまでもが。

…そんなに美味いのか。これ。
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