The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
翌日。

ルレイアと一緒に『青薔薇連合会』本部に向かうと。

「ルレ公~っ!ルル公~っ!」

「ん?」

アリューシャが、血相を変えて走ってきた。

何事だ?

「どうしたんですか?アリューシャ」

「大変だ!シュー公が…。シュー公が、SMクラブの女王様になってる!」

「…は?」

ちょっと、このアリューシャ…何言ってるんだ?

酒でも飲んだ?

いや、アリューシャは酒は飲まない。飲んだら「ふぃ~…」しか言わなくなるし。

ということは、素面なんだ。

じゃあ…シュノがSMクラブの女王ってのは、どういうことだ?

「一体どうしたんですか?シュノさんは」

「とにかく見てくれ!今すぐ見て!」

アリューシャにぐいぐいと背中を押され、俺達はシュノの執務室に連れていかれた。

すると。

「…!?」

「おぉ~…すごーい」

俺は驚愕に目を見開き、ルレイアはぱちぱちと手を叩いた。

感心してる場合じゃないぞ。

「あっ、ルレイア…。これ、どう?似合う?」

シュノはルレイアを見つけて、嬉しそうにそう尋ねた。

シュノの顔には、蝶の形を模したハーフマスク。

成程、SMクラブの女王様…。アリューシャの言いたいことが分かった。

シュノ…お前。

…本当に、やってしまったのか。

しかも最近のシュノは、ルレイアチョイスのゴスロリ服を着ているから。

何処からどう見ても、夜のお仕事の人だ。

いや、マフィアだから元々夜のお仕事なんだけど。

そういう意味じゃないって言うか。

シュノお前、その格好でここまで来たのか?よく通報されなかったな。

その格好はさすがにやめた方が良い。俺はそう言いたかった。

しかし。俺が口を開く前に。

ルレイアが、余計なことを言いやがった。

「素敵ですよ、シュノさん。俺的にはかなり好みです」

「本当?ルレイア」

「えぇ。アリですよシュノさん。グッジョブです」

何がグッジョブだ。馬鹿ルレイア。

シュノを焚き付けるんじゃない。

案の定シュノは、ルレイアに褒められた、と目をきらきらさせていた。

「良かった。ルレイアが喜んでくれて…」

「いやぁ、仮面ってなかなか萌えますねぇ。俺もつけようかな」

『青薔薇連合会』の仮面人口が一気に急上昇。

やめろ。変なものを流行らせるな。

しかも。

「実はね、これ…ルルシーのぶんもあるの」

「は?」

何?その要らない気遣い。

シュノは嬉しそうに、俺に仮面のスペアを差し出した。

「皆でつけましょ?」

「…」

昨日からの流れで、にこにこと仮面を差し出すシュノに。

要らない!とも言えず。

仕方なく、俺は震える手で仮面を受け取った。

受け取りはしたが、これをつけるとは言っていない。

心の中で、必死にそう言い訳をしながら。
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