The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
後で知ったところによると。

あの日、トミトゥの母親が、父の怒りに触れてしまい…憲兵局に対する反逆罪で連行されたということだった。

父はトミトゥの母親を襲おうとしたのだが、トミトゥの母親がそれに抵抗して、父に傷を負わせた。

そのことに腹を立てた父が、トミトゥの母親を拘束した。

トミトゥは分かっていたのだ。罰せられるのは、母親だけでは済まない、と。

憲兵局の、それも上級職員の怒りに触れれば、本人が罰せられるだけでは済まない。

その家族もまた、同罪なのだと。

父は適当な理由をつけて、トミトゥを含め、親子もろとも憲兵局に引っ張っていった。

そして、裁判すら開かれることなく即処刑された。

トミトゥの母親も、トミトゥ自身も。

俺が止める暇はなかった。間に合って欲しいと憲兵局に駆けつけたときには、二人共既に息絶えていた。

重罪人の遺体は、埋葬すらされなかった。

…何で、こんなことになってしまったのか。

悪いのは、どう考えても父ではないか。

トミトゥの母親が何をしたと言うんだ。彼女には、憲兵局に対する反逆心なんてなかった。ただ、自分の身を守ろうとしただけだ。

それに何より、トミトゥに何の罪がある。

重罪人に育てられた子供は反乱分子の種だと?そんなはずはない。トミトゥは優しい、働き者の娘だった。彼女には何の罪もない。

それなのに、何故殺されなければならない?

俺は父に詰め寄った。泣きながら父の部屋に怒鳴り込んだ。

トミトゥとトミトゥの母親を殺したことが、どうしても、納得出来なかった。

しかし…。
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