The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
その翌日。

俺を起こしに来たのは、トミトゥではなかった。

「おはようございます、若旦那様」

「…?」

燕尾服を着た、見知らぬ若い男性が寝室にいた。

15、6歳の少年。

いつも俺を起こしに来るのは、トミトゥなのに。

「…お前は?」

ベッドに上半身を起こして、俺は尋ねた。

「お初にお目にかかります、若旦那様。私は今日から若旦那様のお世話をさせて頂きます、ユーレイリー・エメルフィと申します」

「…」

…新しい…使用人?

何で?

「…トミトゥは?」

使用人が代わるなんて、聞いてない。

トミトゥは、彼女は何処に行ったのだ?

「トミトゥ?前任の使用人のことですか?私は昨日着いたばかりで、詳しくは聞いていませんが…前任の使用人は、若旦那様に相応しくないからと憲兵局に連行されたと聞いていますが…」

「は…!?」

俺は耳を疑った。

…トミトゥが、憲兵局に連れていかれた?

「何で?トミトゥが何をしたんだ!?」

「も、申し訳ありません…。私も詳しくは…。でも、もう屋敷にはいないはずです」

屋敷にいない?

憲兵局に連れていかれた?

憲兵局に連行って、そんな…。

それが何を意味するのか、知らない俺ではなかった。

昨日の夜、俺の寝室にやって来たトミトゥ。

彼女の、あの笑顔。

あれは…あれは、もしかして。

「わ、若旦那様…?」

「…」

…何で、そんなことが有り得るのか。

どうして、この国に…正義はない?
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