The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
八年間、俺はずっとこの国の正義を考えていた。

この八年で、少しでも良くなれば…そう思っていた。

けれども、何一つ改善することはなかった。

むしろ、悪化していた。

憲兵局の悪辣非道なやり口は、年々酷くなっていった。

俺は憲兵局参謀長官の息子として、憲兵局の腐敗ぶりを誰より近くで見てきた。

彼らは国内で、やりたい放題だった。

弱者から奪い、搾取し、私腹を肥やしている…堕落した組織。

それが、箱庭帝国の憲兵局であった。

奴等は、自分達に逆らう者を徹底的に排除し、黙らせてきた。

『シュレディンガーの猫』が良い例だ。

あのマフィアは、憲兵局にとって目の上の瘤だった。

だから排除された。理由をつけて、国外に追放したのだ。

俺はマフィアには反対だが、『シュレディンガーの猫』のあの一件を、他人事とは思えなかった。

彼らもまた、腐敗した箱庭帝国に対し、異を唱える存在であった。

でも、彼らは…憲兵局には敵わなかった。

国内を追い出され、流された土地で…そこで潰えた。

彼らには同情する。しかし…俺は、彼らのやり方は倣わない。

俺は俺のやり方で、この国を変える。

この八年間、俺はその為に生きてきた。
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