The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「アリューシャも起きたことだし、本題に入りましょうか…アシュトーリアさん」

「えぇ、そうね」

こんなときでも、アシュトーリアさんは薄く微笑んでいた。

そしてその微笑みのまま、万人なら凍りつくであろう殺気を滲ませて、ルリシヤと向かい合った。

「…これは一体、どういうことかしら」

「…」

俺でさえ興奮するくらいの殺気だというのに。

ルリシヤは、ほんの少しも怯えた様子はなかった。

「『セント・ニュクス』はあなたが前にいた組織よね?その組織が、私達の家族に手を出してくれたそうだけど…。あなたは、この件に関与してるのかしら」

「…」

「…っ。黙ってないで答えろ!」

返事をしないルリシヤに業を煮やして、ルルシーがルリシヤの顔を殴り付けた。

乱暴。

「ルルシー。ちょっと落ち着きましょうよ」

「落ち着いてられるか。だからこいつは怪しいって言っただろ。信用出来ないって。案の定じゃないか」

あぁ、そうか。

ルルシーは、ルリシヤを信用してなかったんだよね。俺と違って。

「こいつが何を考えてるかなんて、もうどうでも良い。事実は一つだ。こいつは俺達に牙を剥いたんだ」

「ルルシー…。牙を剥いたのは『セント・ニュクス』です。ルリシヤじゃありませんよ?」

それを忘れてはいけない。

しかし、今のルルシーは通用しなかった。

「同じことだ。『セント・ニュクス』はこいつの古巣なんだからな。関与してない訳がない…。こいつは敵なんだ」

うーん…。ルルシーったら、だいぶ荒れてしまってるな。

説得するのは難しそうだ。

しかも、更に悪いことに。

「…会議中、失礼します。アシュトーリアさん」

「あら、どうしたの?」

ルルシーの部下のルヴィアさんが、固い顔をして会議室に入ってきた。

その顔だけで、何か悪いことがあったんだなと分かる。

「たった今、正式に通達が来ました。『セント・ニュクス』は、『青薔薇連合会』に宣戦布告すると」

「…そう…。…分かったわ。下がってちょうだい」

「はい…失礼します」

…あーあ。これはもう…決定的だな。

ちょっと…言い訳も通じない感じになってきた。

完全に、ルリシヤが悪者になってしまっている。

この状況は…圧倒的に、彼に不利である。
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