The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
抵抗しようと思えば出来た。

俺はあのときまだ子供だったけど、既に成人した兄よりも強かった。

でも、俺は抵抗しなかった。

言い方はどうあれ、兄の言う通りだったから。

兄がそこまで父と俺を憎んでいたことはショックだが、兄を責めることは出来なかった。

それだけのことを、俺と父はしてしまったのだ。

兄は無抵抗の俺を突き飛ばした。

「俺が…俺が当主になったからには、もうお前らにも容赦はしてやらねぇ。お前のせいで、俺は人生をめちゃくちゃにされたんだ。今度は俺が、お前を破滅させてやる」

ゆらゆらと後ずさり、兄は血走った目でそう言った。

「…兄さん?」

「めちゃくちゃにしてやる。お前の人生…全部狂わせてやるからな。お前だけ、順風満帆な人生なんて送らせてやるもんか」

自分の人生が思うように行かなくなった兄は。

他人の人生を道連れに、一緒に破滅させることを選んだ。

「俺がクレマティス家の当主なんだ。俺が全部、好きなように出来るんだ…。良いか、お前は帝国騎士官学校には入学させてやらねぇ。今頃、入学辞退申込書が学校に届いてるはずだ」

「…!?」

「その上で、お前の貴族権を剥奪してやる!お前はもう貴族じゃないんだ。そこらのゴミクズみたいな平民と一緒なんだよ!残念だったな!出世コースが一転、どん底人生だ!ざまぁみろ!」

兄は俺を指差して、口許を歪めて高笑いした。

酷く醜くて、そして憐れな姿だったことを覚えている。
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