The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
『セント・ニュクス』に宣戦布告された、翌日の午後。

俺達は再度集まり、『セント・ニュクス』との戦争の為、作戦会議を行った。

ルリシヤが自分の知る『セント・ニュクス』の情報について、事細かに話してくれたお陰で、対策を考えるのも楽だった。

そもそも、何度も言うように、奴らが俺達の脅威になるとは思えない。

短期間で数だけ増やした兵士なんて、物の数ではない。

それでも、運用次第ではちょっと面倒な相手になるかな、と思ったので。

「…ねぇ、ルリシヤ。そのグリーシュ君って子、前線で部隊を指揮したことはあるんですか?」

「いや、経験はないはずだ。そういうのは全て、俺がやってたから」

一応尋ねてみたら、この返事。

部隊を指揮した経験もない癖に、ぶっつけ本番で戦争とは。

昨日入隊したばかりの新兵に、師団預けるようなもんだぞ。

無理に決まってるだろ、そんなもん。

「で、個人の戦闘能力もなし、と」

「なしとまでは言わないが…少なくとも、『青薔薇連合会』の…小隊長くらいは」

うちの小隊長レベルか。俺にとっては雑魚も同然だな。

目ぇ瞑ってても勝てるわ。

「そしてグリーシュは、『セント・ニュクス』の構成員の中ではかなり強い方だったよ」

「ふーん…」

つまり、他の構成員はもっと雑魚、と。

最初期の『青薔薇解放戦線』と一緒か。武装しただけの烏合の衆でしかない。

ますます、俺達の敵ではないな。

「だったら、こちらとしては大きな部隊を動かす必要はないかもね。中隊を3~4隊くらいシュノに任せて、あとはルレイアとルルシーを組ませて敵のど真ん中に放り込めば、それで事足りそうだ」

と、アイズ。

確かに。もしかしたらその中隊も要らないかも。

「ルレ公の無双伝説がまた刻まれる訳だな?アリューシャが格好良く地平線の彼方から撃ち抜く必要もない?」

「ないかもね。アリューシャは私の部屋で昼寝してても良いくらいだよ」

「やったぜ!」

…ぶっちゃけ、本当にそうなんだよな。

ルリシヤから聞いた情報の限りだと、『セント・ニュクス』なんてその程度。

大した敵じゃない。

しかし、それだけに。

「…?どうかした?ルリシヤ。深刻そうな顔して」

「え、あ…いや」

「…やっぱり、昔の仲間を撃つのは忍びない?君は後方にいて良いよ。前線は私達に任せてくれれば…」

「いや…違うんだ、そうじゃない。グリーシュや、前の仲間達を撃つ覚悟は出来てる…。…それより、どうしても気になるんだ」

…そうか、ルリシヤも気になるか。
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