The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
実は、俺もちょっと気になってた。

「何が気になるの?」

「『青薔薇連合会』と『セント・ニュクス』の差は、誰が見たって一目瞭然だ…。それなのに、どうして戦争を仕掛けてくるのかと思って」

…うん、そうだね。

俺もそれが気になっていたよ。

だって、誰が見たって明らかだからね。俺達の差は。

箱庭帝国がルティス帝国に戦争を仕掛けてくるようなもんだよ。絶対勝てる訳がない。

それなのに、敢えて挑んでくるってことは。

「何か…勝算があるのかもしれない。俺の知らない、何かが…」

「何かって…。そこそこ大きくなったからもう行ける!って思ったんじゃねぇの?なんつーか…グリーシュ、グリ公か。そいつ結構馬鹿っぽいしさ。アリューシャより馬鹿だぜ」

アリューシャに馬鹿って言われるなんて、相当だぞ。

確かにグリーシュって、アリューシャ以上の馬鹿だけど。

「ルリシヤが知ってるのは、ルリシヤが抜ける前の『セント・ニュクス』でしょう?ルリシヤが抜けてから、またいくつか組織を併合して大きくなったんじゃないの?」

シュノさんが言った。

シュノさんももう、ルリシヤに対して不信感は持っていないようだ。

信用を得るまではちょっと大変だが、一度信用を得てしまえば、頼もしい仲間だ。シュノさんは。

「俺が組織を抜けてから、更に規模を大きくした可能性はある。それは高いと思う…。実際、『青薔薇連合会』の幹部になってから少し調べてみたところ、『セント・ニュクス』が併合したとみられる組織がいくつかあった」

成程、じゃあ今のルリシヤの情報よりかは、敵の数は多いと思っておくべきだろうな。

しかし、それを含めても…物の数ではない。

「大した組織ではないと思いますよ。『セント・ニュクス』はこれまで、ルリシヤを軸に他組織を打倒・併合してたんでしょう?そのルリシヤが抜けて、前線指揮の経験もほぼないグリーシュが倒せる相手なんて、精々弱小マフィア程度です」

「だろうな」

頭数こそ増えても、アリンコが更にアリンコの群れを呼んだようなもの。

むしろ更に統率が取れなくなって、前より弱くなってるくらいだ。

「まぁ…戦えないとはいえ、無駄に狡猾な頭だけはある訳ですから…何か小賢しい策を考えている可能性はありますけどね」

何せ、ルリシヤを利用するだけ利用して裏切ったという、前科があるからな。

また何か企んでてもおかしくはない。

一応、警戒しておくべきだろう。

もしかしたら、復讐に凝り固まって何も考えてない可能性もあるけどな。

全く、不毛な復讐に囚われて右も左も見ずに、猪突猛進に突っ込むなんて…アホの骨頂としか思えんな。やれやれ。
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