The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「それで…どうします?こっちからぶっ潰しに行きます?それとも、向こうから潰されに来るのを待ちます?」

俺としては…どっちでも良い、ってのが本音だが。

無双させてくれるならどっちでも良いよ。

どっちにしたって負けることはないだろうし。

「攻めてくるのを待って、向こうに準備万端整えさせる必要もないでしょう。こちらから行こう。アシュトーリアさん、良いですよね」

「えぇ、そうね。『セント・ニュクス』の拠点は分かってるのよね?」

「はい」

ルリシヤに聞いたからね。

もしかしたら拠点を変えてこちらを攪乱してくる可能性もあるが。

分からないなら割り出すまでだ。

何せルティス帝国は、俺達の庭のようなものだからな。

「ならこちらから攻めましょう。勝てる戦争を長引かせる必要はないわ」

その通りだ、アシュトーリアさん。

攻撃は最大の防御って言うしな。

そうそう。俺はいつも、猪突猛進に攻撃してる訳じゃないんだよ。

防御なんだ、防御。やられる前にやってるだけ。

正当防衛って奴だな。

「分かりました。では、早速準備を…」

と。

アイズレンシアが言いかけた、そのとき。

「会議中、失礼します!至急お伝えしたいことが!」

部下の一人が、息を切らして会議室に入ってきた。

「どうしたの?」

「見張りから連絡がありました。『セント・ニュクス』らしき部隊が、本部を包囲しつつあると」

「あら~。こちらが行くまでもなく向こうから来てくれたみたいね」

せっかちだなぁ。カップラーメン3分待てないタイプだよ、絶対。

こっちから攻撃仕掛けるつもりだったのに、おじゃんだ。

「まぁ仕方ないね。宣戦布告してきた向こうの方が、戦争の準備が整ってるのは当然だ」

「ですよねぇ。実質不意討ちみたいなもんですし」

正々堂々って言葉を知らないのかね。俺みたいに正々堂々敵陣に単身乗り込むくらいじゃないと。

「とにかく、迎え撃ちましょう。アイズ、いつも通りあなたに指揮を任せるわ」

「畏まりました」

グリーシュには悪いが。

うちのアイズレンシアは、作戦指揮のプロだぞ。

「シュノ、中隊を二つ預けるから前線で敵を食い止めて」

「分かったわ」

シュノさんは簡潔に返事をして、すぐ動き出した。

華奢な女性だからと侮ることなかれ。シュノさんを舐めていると、痛い目を見るぞ。

前線での部隊指揮は、彼女の十八番のようなものだ。

「それと、予備部隊として準幹部二人にそれぞれ中隊を預けるから、そのように」

「分かりました」

伝言を伝えに来た部下にそう指示し、アイズは次に、ルリシヤに言った。

「ルリシヤ、君は周辺の道路封鎖と、住民の避難指示をお願い。周囲に出来るだけ被害を出さないように」

「…分かった」

アイズは、ルリシヤを後方に下げるという判断をしたようだ。
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