The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
アストラエアも大人しくなったので、ようやく俺もお口をチャックした。

俺、本来はとっても大人しい良い子だから。

「一応聞いておくが…『セント・ニュクス』と和解する気はあるのか?和解したいのなら仲介しても良いが」

「私達は和解する気はありますが…向こうにはないでしょう」

だろうね。

宣戦布告してきたの、向こうだし。

「…聞いてみるだけ聞いてみよう。『青薔薇連合会』の話は聞かなくても、帝国騎士団の話なら聞く耳を持つかもしれない」

「…お願いしたいところですが…」

アイズも、諦め半分の口調だった。

うん。望み薄だと思うよ。

化学兵器作戦が思いの外上手く行って、調子に乗ってるところだろうし。

いくら帝国騎士団に「和解しなよー」と言われたって、「ふざけんなてめぇらには関係ねぇ」と突っ返すのがオチだろう。

俺だってそうするよ。帝国騎士団に口挟まれるなんて不愉快でしかないもん。

和解に応じてくれるなら、何にも厄介なことなんてないのに。

それに。

「今や『セント・ニュクス』は国家反逆者です。和解したからといってお咎めなしとは行かない。化学兵器を使った罪で、結局帝国騎士団に捕まるんです。彼らにとってはあなた方も敵と同じでしょう」

「…そうだな」

交戦状態にないってだけで、『セント・ニュクス』にとっては帝国騎士団も敵。

正にその通りなのだ。あいつらは化学兵器を使った時点で、ただのマフィアじゃなくなった。

国家反逆罪を犯した大罪人なのだ。

いくら『青薔薇連合会』と和解したとしても、大罪人であることに変わりない。

馬鹿なのかな。そんなことしたら、『青薔薇連合会』を仮に倒したとしても、帝国騎士団に潰されるだろ。

やっぱり馬鹿なのかな。

それとも、帝国騎士団も化学兵器でぶちのめそうとでもしてんのかな。

あいつら、一体何をしようとしてんの?もしかして革命か何か?

最近、革命って流行ってんのかなぁ。

「投降するなら罪は問わない、とでも言えば…少しは聞く耳を持つかな」

「それも望み薄ですね…。そもそも、咎められるのが怖いなら化学兵器なんて使わないでしょうから」

「…」

後のことなんかどうでも良い、くらいの精神してないと、あんな手段は使えんだろう。

ま、言ってみるだけならタダだが。

「和解に応じないなら…『セント・ニュクス』を野放しにしておく訳にはいかないだろう」

「そうですね。私達もそのつもりで、『セント・ニュクス』の拠点を割り出し、奇襲攻撃を仕掛けようとしたんですが…」

…残念なことになったんだよなぁ。

「どうなったんだ?」

「ルリシヤが教えてくれたポイントに兵を派遣しましたが、既にもぬけの殻でした。拠点を何処かに移したようです」

住所がばれるのを想定して、襲われる前にお引っ越しした訳だ。

姑息だなぁ。
< 556 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop