The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
──────…ルルシーさんとの通話を切り。

邪魔者の俺は、携帯をぺっ、とテーブルの上に投げ、ぐすぐすと鼻を啜った。

捨てられた子犬ならぬ、捨てられたルヴィアになった。

生米食べて寝ようと思ってたけど、生米食べる元気もない。

新聞紙持ってきて、玄関行って寝よう。

追い出された人間には、それくらいが相応しい。

俺は半泣きで古新聞片手に玄関に這っていった。

新聞って、意外に暖かいんだね。

わしゃわしゃうるさいけど。

難点は枕がないことである。

古新聞、もう三部くらい持ってきて枕代わりにしよう。

これで段ボールがあれば、最早完璧である。

室内ホームレスみたいな格好で眠ろうとしていたところ。

「…何やってるんです?あなたは」

「…ふぇ?」

顔を上げると、そこには心底不思議そうな顔をしたフューニャがいた。

俺は新聞にまみれたまま、フューニャと見つめ合った。

フューニャは新聞まみれの夫を、どんな気持ちで眺めていたのだろう。

頭でもおかしくなったのかと思っただろうか。

「…何がしたいんです?」

案の定、おかしい人を見る目でそう聞かれた。

何がしたいって…。

「…ここで寝ようと思って」

「何故?」

何故って…。

…何でなんだろうなぁ。

「…邪魔だと思ったから…」

「誰が?」

「俺が…」

だから、こう…捨てられた犬に相応しく、部屋の隅っこで寝起きしようかと。

「何を言ってるんです、あなたは…。全く」

フューニャは、俺が広げた新聞を畳みながら言った。

「おかしなことしてないで、夕飯食べに行きましょう」

「あ、はい…。行ってらっしゃい…」

俺は米びつの生米食べてますんで。

「あなたも一緒に行くんですよ」

「…え」

「ミルミルにルティス料理をご馳走してあげたいんです。どのお店が良いと思います?」

「…」

俺はぽかんとして、間抜けな顔でフューニャを見つめ返した。

「何を間抜けな顔してるんですか」

「え、だ、だって…。俺も一緒に行って良いのか?」

「良いに決まってるでしょう。何であなただけ除外なんですか」

「だって、さっきまでミルミルと楽しそうに話してたじゃないか。俺がいると、邪魔だろ…?」

俺みたいな捨ててきた犬は忘れて、二人で楽しんできてくれても良いんだぞ。

いや、誘ってくれるのは嬉しいのだけど。

こいつがいなきゃもっと楽しいのにな、なんて思われながら食事したくない。

「邪魔なものですか。勝手にリビングからいなくなってしまって、あなたという人は。何処に行ったのかと思ったら、玄関で新聞まみれになって。おかしくなったのかと思いましたよ」

「…!俺、いて良いの?」

「いなきゃ駄目に決まってるでしょう。全くもう…。すぐにいじけてしまうんですから、困った人です」

フューニャは少し呆れ気味に微笑んだ。

この瞬間、俺は捨てられたルヴィアから、拾われたルヴィアになった。

「フューニャぁぁ…」

「はいはい。全く、大きな子供です」

半泣きでフューニャにすがりつく俺と、そんな俺を甘やかすように撫でるフューニャを、ミルミルは堪えきれないという顔で眺めていた。
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