The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
それでも俺は、受けた恩は忘れない。

ルレイア殿に何かあれば、俺は自分の持てる力の全てを持って、彼らを助ける。

彼らが、俺を助けてくれたように。

「ふーん…。そりゃ嬉しいですけど、でもあなたに俺が助けられますかねぇ」

ごもっとも。

「…努力はします」

「そうですか」

とにかく、何もせずに見殺しには、絶対にしない。

「それよりあなた、革命の後、自分の国はどうなってるんです?順調ですか」

「え?はい…お陰様で」

俺は戸惑い気味に答えた。

意外だ。ルレイア殿は、もう箱庭帝国の国政なんてどうでも良いと思っているのかと。

ルレイア殿なりに、気にしてくれていたのだろうか?

いや、その割には俺の名前さえ忘れてたし…。多分、気まぐれか何かなのだろうけど。

「内乱とかは?なしですか」

「気を付けてはいますが…それらしい動きはありません」

有り難いことに。

「ふーん。憲兵局の残党とかは?」

憲兵局の残党。聞いただけで恐ろしくなるが。

「幸いなことに、国内に反抗出来る勢力は見られません。憲兵局の残党も、出てくるかと思ったんですが…今のところは平和です」

「へぇ」

「彼らもきっと、箱庭帝国の平和を喜んでくれているんだと思います」

憲兵局の残党など、何の動きもなく、音沙汰すらないのだから。

きっと、平和な世の中に溶け込んで、それぞれ安定した生活を手にしているのだと思う。

全ての国民が、過去の軋轢に折り合いをつけて、助け合って平和を享受して生きていく。

俺にとっては、何より嬉しいことだ。

「そりゃ良かったですねぇ。このまま平和が続けば、『青薔薇連合会』も箱庭帝国に進出出来ますね」

ルレイア殿は、にやりと笑った。

成程、目的はそれだったか。

かねてよりの約束だったから、全く異論はない。

『青薔薇連合会』は確かにマフィアであるが、憲兵局や『シュレディンガーの猫』のように、悪質な金儲けはしない。

それに祖国で『青薔薇連合会』は、『青薔薇解放戦線』と共に戦った盟友のように見なされている。

一応彼らは非合法組織であるから、俺達『青薔薇委員会』が公式に大歓迎して迎え入れる訳にはいかないが。

裏では、手を引いて彼らを迎えようと思う。

「そのときは連絡してください。色々便宜を図りますから」

「うふふ。これぞコネ。宜しくお願いしますね、ルアリス」

「はい、こちらこそ」

こんなつまらないことでも、ルレイア殿に受けた恩を、少しでも返せるのなら。

これ以上嬉しいことはない。
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