The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
その翌日、俺は宣言通り帰国の途に着いた。

帰り際、ルレイア殿に挨拶に行くと。

彼は別れの言葉もそこそこに、

「あっ、セトナさんとの結婚式、忘れずに俺を招待してくださいね」

と、朗らかな顔をして言った。

しばしの別れだというのに、もっと他に言うことはなかったのだろうか。

まぁ、実にルレイア殿らしくて逆にほっとしたが。

彼がまともに「お元気で。また会いましょうね」なんて言ったら、影武者を疑うよ。

「ふぅ…。これでまた、ルティス帝国ともしばらくお別れか」

俺は、飛行機から窓の外を眺めながら呟いた。

祖国に帰るのは嬉しいことではあるけど、でもルティス帝国は、俺にとっては第二の祖国も同じ。

離れるのは、ちょっとだけ寂しくもあった。

「ふふ、短い滞在じゃったが、楽しかったのう」

ミルミルが、ご機嫌の様子でそう言った。

ミルミルは俺とヴァルタとはずっと別行動だった。彼女は、親友であるフューシャのところを訪ねていたから。

「ミルミル、フューシャの様子はどうだった?」

今回の滞在では、フューシャには会うことが出来なかった。

少し残念だ。

「うむ、元気じゃったぞ。旦那と実に仲睦まじくてな、思わずからかってしまったわ。最後にはフューシャの奴、もう早く帰りなさい、とまで言いおったわ」

ミルミルは、けらけらと笑っていた。

ミルミル…。フューシャに何て言ってからかったのだろう?

二人が仲良しなのは知っているが、やり過ぎは良くない。

ミルミルのからかい癖にも困ったものだ…と思っていると。

「…ん?」

ふと、ヴァルタが難しい顔をしていることに気づいた。

「ヴァルタ、どうかした?」

「ん?いや…」

「何か気になることでも?」

「…」

俺が尋ねると、ヴァルタは声を低くして言った。

「…どうも、前よりも『青薔薇連合会』がピリピリしていたような気がしてな」

「…!」

「何かあったのではないかと思ったんだ。だが…本当に何かあったなら、我々に遊びに来いなどとは言わないだろうし…気のせいだとは思ったんだが」

「…そうか」

実は…俺もそう思ったんだ。

ルレイア殿の雰囲気も…何処となく張り詰めていると言うか。

言動は相変わらずだったのだが、何かを隠しているような…そんな気がした。

俺なんかが尋ねたところで、彼が自分の隠し事を簡単に教えてくれるはずがないし…俺も黙っていたが。

…やっぱり、尋ねた方が良かったのかな。

…ルレイア殿、俺は確かに馬鹿ですし、あなたの足元にも及ばない、頼りない人間ですが。

でも、俺に出来ることは何でもしますから。

「…本当に困ったら、頼ってくださいね」

俺は窓の外を眺めながら、小さく呟いた。
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