The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
世の中では、これを…感動の再会、と呼ぶのだろうが。

アリューシャの口から出てきた言葉は、

「…誰?」

これだけだった。

これには、彼もぷはっ、と噴き出していた。

「君ね、大恩人を忘れたの?」

「…シュスリー」

「覚えてるじゃないか」

…シュスリーだよな。やっぱり。

そうかな~と思ったが、本当にそうだった。

「なぁんだ…。生きてたのかシュスリー」

「生きてたよ。何?その残念そうな言い方」

別に残念だとは言ってないよ。

嬉しかったよ?それなりに。

「何処にいたのさ。何にも言わずにどっか行っちゃってさ」

「ずーっと君の傍にいたよ。君をずっと見てた」

「…ストーカーかよ」

「あはは。そうかも」

今度からアリューシャ、身辺警護してもらうわ。

「でもまぁ…君も元気そうで何よりだよ。チビ公」

その呼び方も、随分と懐かしくてほっとする。

でも。

「…チビ公じゃねぇよ。アリューシャにはもうアリューシャって名前があるから」

「ほう?アリューシャ?」

「アリューシャ。アリューシャ・ヘルフェンリッツ。センスある名前だろ?」

「そっかぁ、アリューシャ…。そりゃ良い名前をもらったね」

「へっへへ」

そうだろうそうだろう。羨ましいだろ。

シュスリーよりセンス良いぞ。

「じゃあ、アリューシャ。君、狙撃上手くなったね」

「あん?見てたの?」

「見てたよ。あの距離からあれを撃ち抜けるなんて大したもんだ。成長したね」

そうか見てたのか。この変態め。

「凄いだろ?」

「凄い凄い。さすが私の一番弟子だ」

そりゃどうも。

あ、そうだ。

「これ、シュスリーのライフル、返すよ。だいぶ使い込んじゃったから、アリューシャ汁まみれになってるけど」

「ん?別に良いよ。それは君にあげたものだから」

「そうなの?」

「そう。アリューシャが一人前になったと判断したから、君にあげた。まだ使っててくれて嬉しいよ」

へぇ~…。そうだったのか。

うっかり間違えたのかと思ったよ。

「これが一番手に馴染んでんだよ」

「うん。これからも使ってよ」

そのつもりである。

ってか、返してって言われたら困るところだった。

百発百一中が、百発百中になるところだった。

今から新しいライフルに慣れるのは大変だ。
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