The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

─────この俺、ルーシッド・デルマ・スヴェトラーナが帝国騎士団四番隊隊長に就任してから、三年目の春がやってきた。

そろそろ先輩達とも並ぶ、立派な帝国騎士になれてきたかな…と自惚れてきた頃だが。

帝国騎士団長たる彼の姿を見ると、どうにも自分はいつまでも若輩者のように思えてしまう。

更に、面と向かって俺には言わないが、先輩の隊長達は…現四番隊隊長の俺よりも、俺の先任であった彼の方が、遥かに優れた人材であったと思っているようだった。

そのことに対し、俺としては…少なからず嫉妬のようなものを感じるが。

あの男に自分が敵うなどとは思わないが、それでも彼に見くびられるほどではない。

この三年間で、俺も力をつけた。

そろそろ彼と自分の間の差も、縮まってきたのではないか…そう思っていた。

しかし。

その春、今の俺より更に若く、青い騎士達が、大勢入団してきた。

当然、俺の四番隊にも多くの若い騎士達が入ってきた。

新しく入団してきた彼らの前で、一応俺は挨拶をしたのだ。

一人ずつ…顔も見たはずなのだ。

しかし、俺は気がつかなかった。

彼は一瞬で気づいたというのに。

俺は、気づかなかったのだ。