The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「大体あなた達、帝都放り出してこんなところ来てて良いんですか?」

仮にも帝国騎士団のトップ4がさ。悠長なもんだよ。

「俺もそう言ってオルタンスを止めたんだけどな…。聞かなかったんだよ、こいつが」

と、アドルファス。

あ?何で?

するとオルタンスは、

「だってルレイアと遠足と言われたら、行きたいじゃないか」

「うわー、きっしょ。誰があなたと遠足行きたがるんです?俺はルルシーと!遠足に行くんです!」

「そう言われても…。俺だってルレイアと遠足に行きたい」

「ふん、キモっ。あなたが遠足メンバーなんてキモ過ぎて蕁麻疹出そうですよ」

俺達のそんなやり取りに、ルルシーは、

「…あのな、お前ら。一応言っておくが、遠足ではないからな」

「アイ公。ワッフル開けてー」

「はいはい、開けてあげようね」

「お前らも聞け。良いか、遠足じゃないんだからな」

ルルシーのこめかみにはぴきっ、と血管が浮いていた。

しかし。

「ルレイア、あのね、私フライドポテト作ってきたの。食べる?」

「わぁい。さすがシュノさん、気が利きますね~」

「ルレイア先輩、俺はおにぎり握ってきた」

「…お前ら、これから敵の拠点に殴り込みに行くんだって分かってるか…?」

良いじゃないか、別に。

今にも吐きそうなくらい緊張して、神妙な顔して電車に揺られていたら、他の乗客にも怪しまれるよ。

どうせなら愉快に行こう。

しかし、この場にアストラエアがいなくて良かった。

あいつだったら、今のこのゆる~い雰囲気に耐えられず、二、三回は怒鳴っていただろうからな。

折角お忍びで来たのだから、周りにも遠足だと思わせておけば良いのだ。

俺達がおおっぴらに部隊を動かし、大挙して押し掛ければ、襲撃前に『愛国清上会』に感付かれて、逃げられる可能性がある。

だから今回は、少数精鋭で襲撃に来た。

オルタンス達は確かに存在はうざいが、実力は確かなので、戦力に不安はない。

ぶっちゃけ負ける気がしない。化学兵器さえ使われなければ、の話だがな。

ま、それは大丈夫だろう。『愛国清上会』だけで『青薔薇連合会』と戦争出来るなら、始めからそうしただろうし。

それが出来ないから、奴らはグリーシュを丸め込んで『セント・ニュクス』を巻き込んだのだ。

だから、俺は割と楽観視している。

いつでも俺は楽観視してるけど。
< 681 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop