The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「奴らが革命でも何でもしたいっていうなら、勝手にやれば良いさ。俺達には関係ない。何でよその国の戦争に、うちの国の税金を使わなきゃならないんだ」

アドルファス殿の意見に、何名かの隊長達が深く頷いた。

「…見捨てると言うのですか。助けを求めて手を伸ばしてきた者を」

「甘いことを言うんじゃねぇ。俺達は慈善事業やってるんじゃないんだぞ。助けを求める全ての人間を救ってやれる訳じゃない。ましてや…自国の民でもない、よそ者に」

だからって…。

だからって、助けられる人を見捨てるのか。

「自分の国だけが平和ならそれで良いなんて、そんな利己的なことを言うつもりですか」

「よその国の為に、ルティス帝国民に血を流せって言うのか?」

「…」

アドルファス殿の言うことは分かる。

確かに、彼の危険はもっともだ。

ルティス帝国民の命を、他国の為に散らすなんておかしい。

でも。

「一緒に戦わなくても…。せめて資金や物資の支援くらいは…」

それくらいなら、許されるべきなんじゃないのか。

せめてそのくらいの支援は。

すると。

「確かに、それくらいはした方が良いのではないか」

六番隊のリーヴァ殿が、俺の意見に賛同した。

「もとより箱庭帝国の問題については、国際世論から再三非難を受けているだろう」

「…」

これは、隊長連全員が知っていることだ。

これまでもずっと、ルティス帝国は国際世論から非難されていた。

隣国があの惨状なのに、ルティス帝国は何をしているのかと。何故、彼らを放置しているのかと。
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