The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
結婚式だろうが葬式だろうが。

俺は、いつでも真っ黒だ。

「俺は黒以外着ません」

「お前な…。ドレスコードをちゃんと…」

「俺は黒以外を着ると、三時間くらいで拒否反応が出てアナフィラキシーが起きます。結婚式の場で俺が喉をかきむしって発狂し始めても構わないなら、黒以外を着ましょう」

「…分かったよ。好きなもの着ろよ…」

ルルシーの許可が降りた。良かった。

さすがに発狂されるのは困るらしい。

「…アナフィラキシーで喉をかきむしりはしないと思うけど」

「比喩ですよ、比喩」

でもあながち嘘ではない。俺は今や、黒い服を着過ぎて、それ以外の服を着ると落ち着かなくて、走り出したくなるのだ。

結婚式終わるまで耐えられる自信がない。

「ご祝儀はいくら包むべきでしょうね~」

「相場は三万くらいらしいけど…」

ぬるいな。一応俺は富裕層だから、富裕層らしいご祝儀にしないと。

「おまけに、ドレスコード完全無視の無礼を働いてるんだから…それなりに包むべきだろ」

「ですね。じゃ、札束包んでおきましょう」

「…札束渡されても困るだろ…」

現金だと目をひんむかれるな。じゃ、小切手で。

まぁルアリスは、知り合いというにはずっと濃い関係だ。

いくら渡しても、渡し過ぎということはないだろう。

何より俺、あれだよ。お金に困ってはいないから。

先日も新しく経営を始めた風俗店が、早速軌道に乗り始めている。

それなりに渡しておこう。

「ルレ公!お土産宜しく!」

「はーい」

「アリューシャ、お前な…。遊びに行くんじゃないんだぞ」

「こっちの仕事は任せてね。私とシュノで割り振るから」

「宜しくお願いしますね」

「うん、任せて」

アイズとシュノさんには悪いけれども。

存分に、ルアリスの結婚式を満喫してくるとしよう。
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