The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
さすがに、簡単に逃がしてはくれないということか。

俺は、直ぐに判断した。

「分かった。ユーレイリー、セトナ様を早くお連れするんだ」

「そんな…坊っちゃんも、早く」

「俺は最後で良い!仲間を皆逃がしたのを確認しなければ、俺は…」

仲間を置き去りにして、自分だけさっさと逃げる訳にはいかない。

しかし。

「何をおっしゃいます!あなたがいなければ、誰が『青薔薇解放戦線』を率いるのですか!あなただけは生きていなければならないのです。革命軍を路頭に迷わせるおつもりですか!」

ユーレイリーの言うことは正しかった。

その通りだ。リーダーたる俺がいなければ、『解放戦線』は路頭に迷う。

でも、しかし。

「っ…!でも、仲間がまだあんなに残ってるんだ!見捨てていく訳には!」

「無理をして、あなたが死んでは全てがおしまいです!」

俺は痛いほどに唇を噛み締めた。

更に。

「どうか…。お覚悟を。皆、あなたを信じてついてきたのです」

セトナ様が、真摯な目で俺を見つめた。

…ここで俺が消えるようなことがあれば、革命軍は終わりだ。

指導者なき軍隊など、烏合の衆も同然。

ならば…ここは痛みを堪えてでも。

「…分かった。でも…ギリギリまでは俺も残る。ユーレイリー、セトナ様を頼む」

「…ご無理をなさいませんよう、坊っちゃん」

「あぁ、大丈夫だ」

俺だって、こんなところで、志半ばで死ぬつもりはない。

生きなくては。生きて、祖国の平和を取り戻す。

必ず。
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