The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
帝国騎士団四番隊隊長、ルーシッド・デルマ・スヴェトラーナ卿が訪ねてきたのは、その翌日のことだった。

ラシュナからは、とても若くて、親しみやすい人柄だったと聞かされていたにも関わらず。

帝国騎士団の隊長と聞いて俺が想像したのは、中年強面の、いかにも武人めいた男性であった。

だから、帝国騎士団の白い制服を着た、俺とそう歳も変わらない若い青年が現れたとき…俺は思わず、隊長殿のお付きの人か、と思ってしまった。

で、隊長本人は何処に…?

本物の隊長を探して、軽く視線をさまよわせていると。

「…あなたが、革命軍のリーダーですか?」

その若い青年が、俺にそう話しかけてきた。

「はい、そうですが…」

「そうですか。会えて光栄です」

青年に握手を求められ、俺は戸惑いながら手を差し出した。

何で、お付きの人と握手してるんだろう?

もしかしてこれが、ルティス帝国流の挨拶なのだろうか。

「国境越えで怪我をされたと聞きましたが…傷の具合は大丈夫ですか?」

「えぇ、はい…」

「それは良かった。今回の革命軍の入国は、本来なら違法ですが…今回については、帝国騎士団の方で特例を捩じ込みましたので、安心してください」

「あぁ…はい。ありがとうございます」

お付きの人が、何でそんなことを…?

もしかして、今日は本物の隊長は来ないのだろうか?

俺ごときは、お付きの人を送り込むだけで充分だと?

よそ者風情の俺が、自惚れるつもりはないが…見くびられたような気がして、少し悔しい。

すると。

「あぁ、そうだ。自己紹介がまだでしたね。…俺はルーシッド・デルマ・スヴェトラーナ。ルティス帝国帝国騎士団の四番隊隊長です」

「…え?」

改めて青年がそう名乗ったとき、俺は思わずぽかんとしてしまった。

…隊長?

…この人が?

そのとき俺は初めて、彼の制服の腕章に、四番隊隊長を示す紋章が刻まれていることに気がついた。
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