The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…隊長殿…ご本人、なのですか?」

「?そうですが…」

「まさか…あなたが?」

「あっ…」

俺がぽかんとしていることに気づいたのか、ルーシッド殿は何かを察したようだった。

「…若輩者だと、よく言われます」

「!済みません!そんなつもりは…」

お付きの人だと思ってたなんて、言えない。

大体若さに関してなら、俺だって人のことは言えないじゃないか。

「あの、俺…『青薔薇解放戦線』のリーダーの、ルアリス・ドール・エーレンフェルトです」

改めて頭を下げて、こちらも名乗る。

なんという失礼なことをしてしまったのだ、俺は。

彼が隊長だと知っていたら…自分から挨拶したのに。

「ルアリス殿、ですね。こんなことを言うのもおかしいですが…この度は…宜しくお願いします」

「はい…。こちらこそ」

…この人が、帝国騎士団の四番隊隊長。

なんと畏れ多いことだろう。帝国騎士団のNo.4と…直接会うことが出来るなんて。

何て言ったら良いのか、言葉が思い付かないほどだ。

まずは何をおいてもまず、感謝を伝えるべきだろう。

「…帝国騎士団の協力に、心から感謝します。あなた方がいなかったら…革命なんて、机上の空論でしかありませんでした」

フランベルジュ殿の協力だけでは、到底ここまでは来れなかっただろう。

フランベルジュ殿と、それから帝国騎士団の協力があったからこそ。

俺達は、ここまで来たのだ。

「とんでもない。貴殿の勇気があったからこそです。我々は、ほんの少し力添えしたに過ぎません」

「そんな…」

「それに、我々も箱庭帝国の悪政には頭を痛めていたところでしたから…。今回の件をきっかけに、長期に渡る両国の友好関係を築けていけたらと思っています」

当然、俺もそのつもりである。

鎖国は、もうおしまいだ。

革命が成功した暁には、箱庭帝国はもっと他国に開かれた国にする。

「それに、個人的にも…国を正しい在り方に導こうとする、あなたの誠実な姿勢に共感しています。必ず、成功させましょう」

「ありがとうございます、ルーシッド殿…」

そう言ってもらえると、心強い。

「正義を帝国騎士団としては…革命の為に必要な資金の提供は惜しまないつもりです。何か要望があれば、俺を通してください。出来る限りのことはさせてもらいます」

大盤振る舞いだな。

このルーシッドという人…とても頼りになる。

「頼もしい限りです、ルーシッド殿」

「現状、何か足りないものはありますか?」

「…」

…敢えて聞いてくれるということは…言っても良いものか。

厚かましい要望だということは、自覚しているが…。

「…敢えて申し上げるとしたら…我々としては、戦力の不足で悩んでいるところです。差し出がましいこととは思いますが、出来れば…帝国騎士団から戦力を貸して頂けたら有り難いのですが…」

「そうですね…」

これには、やはりルーシッド殿も顔を曇らせた。

その顔色で、言わんとすることが分かった。

「俺としても、貸せるものなら貸したいと思っています。しかし…帝国騎士団の騎士を、他国の戦争の為に使うことは…」

言葉を濁したが、要するに駄目だということだ。

…やはり、無理か。

それはそうだろう。俺も無理を言っている自覚はある。

俺が厚かまし過ぎるのだ。

「…そう、ですよね。済みません。厚かましいことを言って申し訳ない」

そもそも、俺達がここに来ていることだけで充分良くてもらっているのだ。

「いえ…。戦力を貸すのは難しいですが、それ以外の支援なら最大限させてもらいますので」

「ありがとうございます、ルーシッド殿」

このような、話の分かる協力者を得られただけでも、感謝しなくては。
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