レンアイゴッコ(仮)
「これで午後からもがんばれます〜!ありがとうございます東雲さんっ!じゃあ、失礼します」

その子は去り際も可愛くて感心しつつ、もやもやは溜まっていく。

東雲は案外パーソナルスペースが近いって知ってる。ちゃんと知ってるけれど、

「(私の目の前で、他の子を触ることないじゃん……!)」

私のこと、全然興味がないってことですか、そうですか。

無意識にぷうっと頬を膨らせていると「妃立、顔が怖いよ」と、坂下先輩に言われて、苛立ちを溜め込んだ頬をむにっと摘んで、イライラを外に逃がした。

「すみません、ちょっと御手洗」

トイレで気持ちがリセットするわけないのにと、惨めな自分を自覚しつつ重たい腰を持ち上げた。

「(午後からも頑張ります〜……か)」

だめだ、にあわない。

あんなに高い声も、ほわほわの笑顔も、やわっこい仕草も、絶対に私は似合わない自信がある。

鏡の中の自分と語り合っては、ため息。結局気持ちは晴れず、ため息を水に流してトイレを後にした。


ていうか、東雲のことばかり気にしすぎだ。


東雲と付き合ってから、私の脳内を占領するパーセンテージが明らかに変化している。
< 122 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop