レンアイゴッコ(仮)
東雲のプレゼントは、このまま私が住めるんじゃないのかって言うくらい、たくさんあった。

髪がツヤツヤになると噂になっていたくしの他に、可愛いマグカップや傘、カトラリーに入浴剤もあった。

しかしどうやら東雲の私に対するメインイメージはお酒らしく、ワインや焼酎、それに合うおつまみまでセットだ。

それから、可愛い柄のパジャマもあった。かわいい、けれど……

「パジャマは自分の家で着ようかな」

「俺の服、嫌じゃないの」

「東雲のが良いんだ」

いい匂いがするあの服を着れなくなるのは勿体ない。

「そうだ。東雲の誕生日はいつ?」

「忘れた」

「はあん?忘れるわけないでしょ!?」

「忘れた。風呂入る」

東雲は欠伸を噛みながら、やる気のない背中で浴室へと向かった。

逃げたな……?

いいや。今度、社員名簿をこっそり拝見しよう。

「あれ……ていうか、かんなは?」

そういえば、前回連れて帰ったアザラシのぬいぐるみがいない。

きょろきょろと見渡せば、ベッドの中でコロンと転がるそれを見つけた。
< 140 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop