レンアイゴッコ(仮)
「ごめん。……俺のせいだ」

見舞いに来た東雲は何故か自分を責めていた。

「何言ってるの?私が勝手に無理しただけの話。東雲のせいじゃない」

むしろ東雲は、半分分けろとか、無理をし過ぎだとか。ずうっと気にかけてくれていたのだ。

「(そういえば、東雲がムカつく態度取り始めたのも、無茶な仕事を持ち帰るようになったのって、その頃から……?)」

……いやいや、気のせいだ。

以前倒れた経験があるからこそ、鈴木の体調の変化に見抜けなかったことが余計悔しかった。

「ひ、妃立さんまで叱らないで下さいよ!」

昼間、企業との打ち合わせの合間に鈴木を見舞いに行くと、ベッドの上で入院着を着込んだ鈴木が思いのほかケロッとしていたので少し救われた。

「私までってどういうことよ」

「こう見えてめっちゃ叱られましたんで、東雲さんに」

全然威張ることじゃないけど、鈴木にとっては勲章らしい。

「そもそも東雲は丈夫だし、体力馬鹿だから出来るの。凡人は真似しようとも思わない。ちゃんとご飯食べて、きつい時はきついって言って。フォローするから」

「ごめんなさーい」

……この子、本当に分かっているのかしら。
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