レンアイゴッコ(仮)
「指輪とか、興味無いの?」

シーツの上で二人きり、身のままの足をからませて話していると、東雲の長い指が私の指を撫でた。

「指輪?興味はあるに決まってるでしょ」

「あるんだ」

「あるけど、料理作ったりする時に汚れるの嫌だから、あまり付けないようにしてるの」

説明をプラスさせると、東雲は「ふうん」とだけ頷いた。

「どうしたの?」

東雲の顔を見上げる。その指は私の左手の薬指をやわやわと摘む。

「そのうち贈る時用に、リサーチ」

「(そのうち……)」

先のことまで考えてくれる東雲の気持ちが嬉しい。

うすうす気づいていたけれど、溺愛型の恋人らしい東雲は、以前よりももっと甘い。

「楽しみ。ネックレスもピアスも、アクセサリーは何でも好きよ」

「そう」

「一番好きなのは東雲琥珀よ」

「ありがとう」

本当に超順調だ。順調すぎてたまに怖い。もしもこの恋が壊れた時、果たして私は元に戻れるのだろうか。何ともない振りをして、東雲と普通の同僚に、普通の他人に戻れるのだろうか。

そんな不安が何処かで伝染してしまったのか、私たちにあんな出来事が待っているなんて、この時の私には全く分からなかった。
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