レンアイゴッコ(仮)
制作3課のフロアにたどり着くとIDカードをリーダーにかざして出勤を切る。

広々としたオフィスにはデスクが点在している。私のデスクは窓側の二列目。

「おはようございます」

「おはようございます。きょうも早いですね」

「それほどでも。今日は鈴木、午前休らしいです」

「そうなんですね」

軽い世間話をしながら椅子に腰掛けた。ちなみに、向かい側が東雲のデスクで、東雲は既に出社していた。

この男、何時に出社しているのだろう。私の方がいつも遅い。

「(会社ではいつも通り)」

その言葉を反芻させながら、今日のToDoリストを付箋に書いて、パソコンのデスクトップに貼り付けて、優先順位を決めた。毎朝のルーティンだ。



私が抱えている仕事は今のところ三つある。そのうち、ひとつはチーフディレクターとしてクライアントとの打ち合わせや定例会議にも参加している。

「東雲さん、少しいいですか」

そのうちの一つに私はある問題を見つけてしまった。

「何でしょうか」

東雲は動かしていた指を止め、ノートパソコンを閉じるとくるりと椅子を動かして私へと向き合った。長い脚を窮屈そうに組んでいるその様が鼻につき、東雲へと向かって資料を差し出した。
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