レンアイゴッコ(仮)
「(酔った勢いでポロッと言わないかなあ……?)」
ちょっとした下心の炎を内側で燃やして時間差で職場を出た。
坂下先輩や鈴木、ごく近しい数人には社内恋愛してるってことはバレてるんだけど、堂々と二人で帰宅出来るほど、私たちの心臓は強くない。
今日も今日とて、心配性な東雲は私にどこか店内で待ってろと言ったら、でも今はコーヒー飲む気分でもないし、待つと言っても10分だし、近くの本屋で待つことにした。
そういえば、温泉に行こうって話したっけ……。
東雲との会話を思い出し、有名な温泉地が掲載された旅行雑誌をパラパラと捲った。温泉よりもグルメ掲載にも力が入っており、美味しそうな食べ物ばかり目が追ってしまう。
食べ歩きもいいなあ……!うわ、ソフトクリームも、プリンも、おせんべいも美味しそうー……!
おせんべい片手に冷酒、最高では?
なんでも酒の肴に出来る舌なので、妄想も捗る。
「ごめん、お待たせ」
「ううん、全然待ってないから平気。ねね、旅行の第一候補、ここはどう?」
「おー、良いじゃん。車で行けるかな」
「東雲、車持ってる?」
「実家に置いてる」
「駐車場代高いもんね。てことは、車で行っちゃう?」
「そうしよう。そっちが色々と都合いいもんな」
「ふふ、楽しみ」
どうしたって、すぐに楽しみに変わってしまう。