レンアイゴッコ(仮)
「その鍵、俺ん家というか、あれ」

東雲の骨ばった細い指がある建物を指さした。いつもと違う帰り道とは思っていた。見慣れぬ風景のその場所には、背の高いマンションが見えた。

「……え、あれ?」

「買った」

「買った!?」

「分譲マンションか戸建てを持てない男とは結婚を考えられないとか、坂下さんと話してたの聞こえたから、買ってやった」

さらっととんでもない事を言う東雲のスケールに驚いてしまう。驚きはときめきへと変化し、徐々に現実味を帯びる。

「……それって、遠回しのプロポーズ?」

「そう捉えてもらえたら」

「急すぎよ」

最後の恋を願っていた。終わらない恋に憧れていた。

偽り、妥協、本物を真似する児戯のように始まった私たちのレンアイゴッコ。

何も生まれないと思っていた。
冷たいその手はいつも優しかった。

「妃立柑花。俺と同棲すんの、嫌?」

「大賛成!」


「大好き」と言って東雲に抱きつくと、彼は静かに「俺も」と頷いた。




ここは最果て、恋の終着点。

私の最後の恋は、あなたが良い。

𖦊̌

レンアイゴッコ【完】
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