レンアイゴッコ(仮)
「……はい?」

冗談か。そっか、冗談だよね。

「(冗談……?)」

立ち止まって見上げた。東雲も同じように立ち止まる。オフィス街とは違った景色の夜の街。見上げた先の東雲の目は茶化していなかった。

「なあ、1個。俺も面倒なこと言ってもいい」

以前の言葉をなぞられ「好きならすぐ言うよ?」と、先手を打とうとした。

「……これ」

しかし、東雲の答えは鍵だった。

「……なにこれ、どこの鍵?」

「俺ん家の鍵」

ああ、いつでも会えるように、預けてくれるってことかな。

正爾の時のようだ。いつでも来ていいって、多忙の暇を縫って会うような関係だったから、そんな甘い言葉をくれたんだ。

「ありがとう」

……え、これ、フラグかな?

大丈夫だよね、フラグなんかないよね?


「でも、東雲がいる時に突撃するのも好きだったんだけどなー」


合鍵に少しトラウマを感じて、前髪を撫でる手が震えた。
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