イケメン友達ドクターによる真夜中の診察は
タクシーで友人の家に行くと、そのすぐ隣、彼の父親の病院の前で彼が待っていた。
相変わらずのイケメンだ。背が高くて女性にもてて、彼との橋渡しを頼まれたことは数えきれない。
「遅くにごめん」
「いいよ、中に入って」
彼は優しく微笑して私を病院の中に招く。
夜中の病院はしんとしていて、足音が妙に響く。消毒の匂いは昼間と変わらなくて、煌々と光るLEDの光がどことなく白々しく見えた。
彼はこの病院の息子だが、現在は市内の総合病院で働いている。共通の友人の話によると、優秀なホープとして期待されているらしい。将来はこの個人病院を継ぐのだろうけど、総合病院の院長は彼を離したくなくて画策しているとかなんとか。
夜の診察は基本的にしていないのだけど、私が来るから特別に開けてくれたみたいだ。なんか悪いことしちゃった。
診察室に入ると、彼は白衣を羽織って椅子に掛け、私にも椅子を勧めた。
私はちょっとどきどきしてしまった。彼の白衣姿は初めてで新鮮だったし、妙に頼もしく見える。
「頭打ったって、どこ?」
「ここ」
と私は右側頭部の上の方を手で押さえる。
「見せて」
彼がキャスターのついた椅子ごと寄ってきて、私は頭を差し出す。
「ん……たんこぶになってるね」
「そうなの、痛いの」
「どれくらい?」
「うち身のときくらい、かな。頭って放っておくとやばいってよく聞くから心配になって」