異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「キララ様は聖女ではないのか?」
「ならば、本物の聖女は誰だ」
「聖女見習いが本物のわけが……」
「それが事実であれば、大変なことになるぞ」
「今まで我らは、崇めるべき聖女様を始末しようとしていたのか……?」

 彼らはキララの叫びを聞き、彼女が偽物だと認識したようだ。
 事の重要さに気づいた神官達はヒソヒソと言葉を交わし合いながら、ある1つの答えにたどり着く。

「聖女を騙る不届き者を始末しろ!」
「いやぁ!」

 ――始末するべきはロルティではなく、キララであったと言うことに。

 神官達は頷き合うと、聖騎士達に聖女を始末するように命じた。
 あっと言う間にキララは彼らに手足の自由を奪われ、喉元に剣を突きつけられてしまう。

「ロルティ!」

 神殿の人々は子どもの前だと言うことをすっかり忘れて、この場でキララを処刑するつもりのようだ。

 幼子に残忍なシーンを見せるわけには行かないと、慌てた様子で父親が愛娘の小さな身体を抱きしめる力を強めた。

「た、助けて……! ロルティちゃん……! ゆ、許してよ! あたし、あなたを始末しようとしたこと、すごく反省しているの! ごめんなさい!」

 ロルティは父親の腕の中で、悲痛な聖女の叫び声を耳にした。
 キララが彼女の名を口にしたのは、今回が初めてのことだ。
< 106 / 192 >

この作品をシェア

pagetop