異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
(今すぐには無理でも、いつかはきっと……。心を通わせられるはずだよね?)

 未来に想いを馳せたロルティは、すぐさま行動に移した。

「……わかった」
「ロルティ……?」
「誤解が解けるまで、わたしもカイブルとお話しない!」

 ロルティは困惑する兄の小指に自らの指先を絡めると、彼を安心させるように優しく微笑んだ。

「おにいしゃまとお揃いなら、寂しくないでしょ?」

 彼女の笑顔は確かに、どうしようもない怒りを胸の奥底に燻らせていた兄の心を癒やした。

「さすがロルティ。僕の自慢の妹だ」

 先程まで悔しさが滲んだ表情を浮かべていたジュロドも普段通りの優しい笑みを形作ると、大好きな妹を抱きしめた。

「えへへ。おにいしゃまも、わたしにとって、自慢のお兄ちゃんだよ!」

 兄妹の絆を確かめあった2人は、ニコニコと笑い合いながら。
 侍女に夕食の準備ができたと呼ばれるまで、ぴったりとくっついて離れなかった。
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