異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「うわぁ! なんだ?」
「さ、司祭様……!」
「おい! ちょっと待て!」

 誰もが突然降って来た司祭の下敷きになることを防ぐため円を描くように避ければ、彼はそのサークルのど真ん中で背中を床の上に叩きつけた。

 見かねた神官の1人が助けに入ろうとしたものの、すぐに近くにいた人間達が複数人で止めに入る。
 カイブルが彼のことを、すでにこの神殿の最高権力者ではないと紹介したことを覚えていたからだろう。

「こいつのせいで、俺たちは職を失ったんだぞ……!」
「手足の拘束を解くなんてあり得ない!」
「やっちまえ!」

 ガンウが下に見ていた神官達が、暴徒に変わった瞬間だった。
 ロルティは思わず養父を助けようと獣の背中から身を乗り出そうとしたが、大きな手が彼女の両目と耳を塞いでしまう。

「むぅ? パパ? カイブル……?」

 一時的に聴覚を奪われたロルティは、たとえ大人達が声を発していたとしてもそれを聞き取ることができない。

(これ、いつまで続くんだろう……?)

 ロルティが困惑している間、誰かに抱きかかえられて移動していることに気づく。
 彼女は顔を上げようとしたが、逞しく鍛え抜かれた胸板に顔を押し付けられてしまい叶わなかった。
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