異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
(わたし、失敗しちゃったのかな……?)

 彼らの反応があまり芳しくないことみ怯えたロルティがしょんぼりと下を向けば、愛娘を慰めるように父親が彼女の頭を優しく撫でた。
 思わず振り返ってジェナロと視線を合わせれば、彼は、安心させるように口元を緩めた。

「以上が聖女ロルティ様のご意思となります。今後一切、皆様方が聖女様とかかわる機会はないでしょう」
「では、我々は……」
「本日を持って、神殿は封鎖いたします」
「そんな……!」

 神官達は職を失うことになるなど思いもしなかったようで、この世の終わりのような表情とともに崩れ落ちた。
 どこからか啜り泣く声が聞こえ、あっと言う間にこの空間が地獄と化す。

(みんなが悲しんでるのは、わたしのせい……?)

 ロルティが嘆き悲しむ彼らの姿を目にして心を痛めているのを理解したからだろう。
 少しでも愛娘が気に病まぬようにと配慮した父親は、神官達に宣言する。

「再就職先の斡旋は、我がハリスドロア公爵家が責任を持って行う」
「ですので皆様はどうか心配なさらず、指示が下されるまで怪しい動きをすることなく大人しくしているように」

 ジェナロと見事な連携プレイを見せたカイブルはこれ以上話すことはないとばかりに、肩に背負っていた意識を失っている司祭を勢いよく群衆の中に投げ込んだ。
< 179 / 192 >

この作品をシェア

pagetop