【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 ああでもない、こうでもないとこねくりまわし、そして言葉が理解できたときは、ぱっと世界が開けたような気分になる。
 まだ取りかかったばかりで、一日四ページ進めるのがいいところだ。だけど、それだって地道にこつこつと続けていけば、今は見たことのない古代文字であっても、そのうち理解できるようになって効率もあがってくる。結果、単位時間に読める量が増える。
 いいことづくし。
 あまりにも気分がのっていたため、アンヌッカも知らぬうちに鼻歌を歌っていたようだ。
 昼休憩になれば、約束通りシンディが声をかけてくれた。
「昨日は、どうしたの? お昼は」
「昨日は……食べ忘れたかもしれません……」
 シンディに指摘されるまで、昨日の昼食を忘れていたことにすら気づかなかった。
「わたし、古代文字が大好きなんです。それで、見たことのない魔導書、古代文字だったので、つい、夢中になってしまって……」
「夢中になるのはいいけれど。ご飯はきちんと食べないとダメよ。私がいるときは、声をかけるから。カタリーナ……って呼びにくいわね、リーナでもいい?」
「はい、もちろんです」
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